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海外競馬ニュース
2018年06月14日  - No.22 - 1

無敗で三冠を達成したジャスティファイの種牡馬としての価値(アメリカ)[その他]


 ジャスティファイ(Justify)が、注目されない馬から不朽の名馬へと出世するのにはたった4ヵ月しか掛からなかった。

 2月18日にサンタアニタ競馬場でデビューする前、ジャスティファイについての噂はボブ・バファート(Bob Baffert)厩舎以外では聞かれなかった。しかし、6月9日(土)のベルモントS(G1)を1 3/4馬身差で楽勝し三冠を手にしたことで、この馬のレガシー(遺産)は確実なものとなった。

 ケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)で優勝した後にベルモントSでの勝利を加え、ジャスティファイは史上13頭目の米国三冠馬となった。アメリカンファラオ(American Pharoah)が三冠達成してから36ヵ月しか経過していない。しかしその前の三冠達成がその37年前にもさかのぼるということは、この偉業を成し遂げることの過酷さを物語っている。

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米国三冠達成馬

1919年 サーバートン(Sir Barton)

1930年 ギャラントフォックス(Gallant Fox)

1935年 オマハ(Omaha)

1937年 ウォーアドミラル(War Admiral)

1941年 ワーラウェイ(Whirlaway)

1943年 カウントフリート(Count Fleet)

1946年 アソールト(Assault)

1948年 サイテーション(Citation)

1973年 セクレタリアト(Secretariat)

1977年 シアトルスルー(Seattle Slew)

1978年 アファームド(Affirmed)

2015年 アメリカンファラオ

2018年 ジャスティファイ

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 バファート調教師もアメリカンファラオが辿ったような三冠達成への道を再び進むことを計画していた。しかし、アメリカンファラオはジャスティファイほどの急仕上げを行ったわけではなかった。

 ジャスティファイは1882年以来はじめて、3歳デビューのケンタッキーダービー馬となり、"アポロの呪い"を解いた。同馬はその後、ぬかるんだ馬場のプリークネスSを制し、米国競馬の至高の目標に挑戦することとなった。

 スキャットダディ産駒であるジャスティファイが、ベルモントSの1 1/2マイル(約2400m)を走り切るスタミナを持っているかどうかは大きな疑問であった。しかし、今回初めて三冠達成を成し遂げることになったマイク・スミス騎手(52歳)は、先行して望むようなラップタイムを刻んでいった。ジャスティファイが連勝を6に伸ばすのは難しいことではなかった。

 英国のジェレミー・ノセダ(Jeremy Noseda)厩舎からチャド・ブラウン(Chad Brown)厩舎に移籍して初めての出走となったグロンコウスキー(Gronkowski)は、勇猛果敢に追跡し、最終コーナーを回るときには一時脅威的であると見られた。しかし、ジャスティファイは最後まで押し切った。単勝1.8倍のジャスティファイの最大のライバルと見られていたホフバーグ(Hofburg)は優勝馬を全く脅かすことなく3着となった。

 スミス騎手はこう語った。「ジャスティファイは、天国から送られてきたと思われるほど、天賦の才能のある馬です。現在体の中を巡っている感情をうまく表現できません」。

 「ジャスティファイは優秀です。ゲートでじっとしていたので、力を発揮しないかもしれないと思っていました。しかし、素早くゲートを出て、440ヤード(約396m)のレースを走っているようでした」。

 「ボブは、多くの私の目標を実現させてくれましたが、今日はついに私の夢をかなえさせてくれました」。

 バファート調教師はすぐにスミス騎手に敬意を表した。「スミス騎手が三冠ジョッキーとなったことを嬉しく思います。彼ほどこの栄誉にふさわしい騎手はいません。私はマイクに"ようこそ、名手クラブへ"と言いました」。

 2着馬グロンコウスキー(Gronkowski)が見せた驚異的な走りについて、鞍上のホセ・オルティス(Jose Ortiz)騎手はこう語った。「わずかに出遅れました。グロンコウスキーは英国から来た馬なので、選択肢はありませんでした。後ろにつけて、内側を走り続けなければなりませんでした。彼はダートをうまくこなしました。2回調教で乗って、ダートにうまく対応していたので、楽観的になっていました」。



ジャスティファイの種牡馬としての価値

 史上2頭目の無敗の三冠馬となったことで、ジャスティファイがその競走生活を終えるころには高額の種付料が提示されるだろう。

 ジャスティファイの前に三冠を達成したアメリカンファラオは、アシュフォードスタッド(クールモア牧場のケンタッキーの拠点)において種付料20万ドル(約2,200万円)で供用され始めた。ジャスティファイは流行の血統、すなわち非常に惜しまれて死亡したスキャットダディの最後から2世代目の産駒であることから、それよりも高額な初年度種付料が設定される可能性は高い。

 ジャスティファイが種付料25万ドル(約2,750万円)で種牡馬入りしても、その額はガリレオやディープインパクトにはまだまだ及ばないだろう。最初の4年間で毎年150頭の牝馬に種付けすれば、初年度の産駒が出走し始める頃には、1億5,000万ドル(約165億円)を獲得するだろう。そして、その溢れる才能をある程度産駒に伝えることが立証されれば、その高額種付料がさらに上がるのは間違いない。


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By Tony McFadden

(1ドル=約110円)

[Racing Post 2018年6月10日「True champion: Justify secures the Triple Crown by winning the Belmont Stakes」]


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