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2017年12月07日  - No.48 - 4

ゴドルフィン、来年から繁殖牝馬をクールモアに送る予定(アイルランド)[生産]


 モハメド殿下が所有する繁殖牝馬が来年クールモアでガリレオと交配することが、今週アイリッシュフィールド紙(Irish Field)に掲載されたゴドルフィンのCEOジョー・オズボーン(Joe Osborne)氏へのインタビューで確認された。これは、2つの生産事業体の関係が新たな時代を迎えるにあたり、当然とられるべきステップである。

 ゴドルフィンは12年間、その生産事業においてクールモアの種牡馬をボイコットしてきた。すなわち、クールモアの種牡馬に繁殖牝馬を送ることも、セリでクールモアの種牡馬の産駒を購買することもなかった。ただし、ゴドルフィンは選りすぐりの現役馬を高額で購買することでガリレオの遺伝子を手に入れてきた。ガリレオ産駒のニューアプローチ(New Approach)やテオフィロ(Teofilo)などをプライベート取引で、また、ガリレオ牝駒のガラティー(Galatee)、ハンキーパンキー(Hanky Panky)、シークレットジェスチャー(Secret Gesture)をセリにおいて数百万ギニーもの高額で購買した。

 これらの馬は、ガリレオがゴドルフィンにとってどれほど有益であるかを示している。ニューアプローチとテオフィロはダーレーの種牡馬群の中でも秀でており、ガラティーは重賞勝馬であるダートマス(Dartmouth)やマナティー(Manatee)を送り出している。

 モハメド殿下は以前、サドラーズウェルズの産駒を頻繁に出走させていた。伝説的な種牡馬サドラーズウェルズはガリレオの父であり、2頭は以前クールモアで一緒に供用されていた。殿下は自身の勝負服を背負わせるために、ドイエン(Doyen)やインザウィングス(In The Wings)を自家生産し、カーネギー(Carnegie)、オールドヴィック(Old Vic)、オペラハウスなどの優良馬を購買した(いずれもサドラーズウェルズ産駒)。

 ゴドルフィンが自ら課していた"ガリレオや他のクールモアの種牡馬へのアクセス禁止"は、今年になって突然終わった。モハメド殿下の新しい購買チームが欧州のセリでガリレオ産駒5頭と、他のクールモアの種牡馬の産駒を購買したのだ。その5頭の中にはタタソールズ社10月1歳セール・ブック1において400万ギニー(約6億3,000万円)で購買したガリレオ牝駒(母ダンク)がいた。

 そして今、ゴドルフィンの数頭の優良牝馬がガリレオと交配しようとしている。ガリレオは、ドバウィの牝馬との相性の良さを証明するはずである。なぜなら、その反対の組合せ(父ドバウィ、母ガリレオの牝馬)では、重賞勝馬のダートマスとナイトオブサンダー(Night Of Thunder)、英ダービー(G1)5着のレッドガリレオ(Red Galileo)がいるからだ。

 もう1つ興味をそそるのは、ダーレーの繁殖牝馬群にはモハメド殿下が所有権の大半を持つピヴォタル(Pivotal)の牝馬が多くおり、それらの繁殖牝馬はガリレオと相性が良いと考えられていることである。今シーズン、母父がピヴォタルのガリレオ産駒であるハイドランジア(Hydrangea)とロードデンドロン(Rhododendron)がクールモアに顕著な成功をもたらしたのだ。さらに、次世代の組合せと言えるクラックスマン(Cracksman 父フランケル 母父ピヴォタル)も成功を収めた。

 クールモアとゴドルフィンの間の緊張緩和は、おそらく、クールモアがお返しとしてダーレーの種牡馬に繁殖牝馬を送りサポートすることで完成するだろう。それにより、クールモアは優秀なガリレオの牝馬の多くをドバウィに送り、ダートマスやナイトオブサンダーと同じ組合せの馬を生産することができる。

 ゴドルフィンが突然ガリレオ産駒を購買し始めたように、クールモアはタタソールズ社10月1歳セール・ブック1で、ドバウィ牡駒(母スカイランターン)を200万ギニー(約3億1,500万円)で購買した(ただしクールモアはこの12年間、ダーレーの種牡馬の産駒の中でも特別な産駒だけは購買してきた)。それゆえ、ダーレーが欧州で供用するエクシードアンドエクセル(Exceed And Excel)とイフラージ(Iffraaj)、ケンタッキーで供用するメダグリアドロ(Medaglia D'Oro)のような種牡馬は、クールモアにとって魅力的かもしれない。

 クールモアとゴドルフィンの間に10年以上前からできていた溝を埋めることは不可能だと考えられてきた。しかしここへ来て、それは突然埋められようとしている。

Martin Stevens

(1ポンド=約150円)

[Racing Post 2017年12月3日

「Commerce between breeding superpowers no longer implausible」]


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