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2017年10月05日  - No.39 - 1

デットーリ騎手、凱旋門賞優勝馬エネイブルの現役続行を熱望(イギリス)[その他]


 昨年の凱旋門賞(G1)の後にフランキー・デットーリ騎手のリップサービスを受けたのはライアン・ムーア騎手だった。しかし今年は、エネイブル(Enable 父ナサニエル)がその愛情を一手に引き受けた。凱旋門賞の翌朝、シャンティイで勝利を挙げてデットーリ騎手の歴史的パートナーとなったエネイブルは、レースの疲労から完全に回復していた。

 史上初の凱旋門賞5勝を達成したことで、デットーリ騎手は華々しく祝福されたが、わずかに慎み深い気持ちになっていた。

 しかし、エネイブルの馬房を訪ね、"これまで騎乗した中で最高の牝馬"に大きな音をたててキスしたことで、デットーリ騎手はその快挙を大いに祝った。ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師のクレアヘイヴン調教場(Clarehaven Stables)に帰ったエネイブルに一包みのポロ(飴菓子)をやり、大きなハグをしたのだ。

 世界一有名なデットーリ騎手はセルフィー(自画撮り)を頻繁にせがまれる。しかしそんな有名人にもアイドルはいる。同騎手にとってエネイブルこそがまさにアイドルであり、人に見せるために、その写真を何枚か撮ったほどである。

 デットーリ騎手は、シャンティイでセンセーショナルな勝利を収めて凱旋門賞最多勝利騎手の勲章を手に入れた翌日に、こう語った。「気が楽になりました。自分でプレッシャーを掛けていたのです。さきほどエネイブルに会ってきたところです。いくつかポロをやり、口に大きなキスをしました。彼女は凱旋門賞優勝馬に贈られる馬着をつけて馬房の中でおとなしくしていました。何枚か写真を撮ったほどです」。

 同騎手は昨年、ファウンド(Found)で凱旋門賞を制したムーア騎手をキスで祝福した。今年は翌日になっても、自らの優勝を喜び、その様子にゴスデン調教師は泣きそうになっていた。

 英国調教牝馬として初めて凱旋門賞を制したG1・5勝馬エネイブルについて、デットーリ騎手はこう語った。「間違いなく、これまで乗った中で最高の牝馬です。長年にわたって乗ってきた数々の馬を、そして牡馬と牝馬を比べることはとても難しいのですが、これまで乗った中でエネイブルほど優れた牝馬はいません」。

 「数頭の偉大な馬に乗ってきたので、"最高"あるいは"より優れた"という言葉をつかうのは不公平かもしれませんが、エネイブルの実力はそれらの偉大な馬に劣りません」。

 凱旋門賞で2着馬に2½馬身差をつけて圧勝したエネイブルに対して、デットーリ騎手は敬服の念を抱いている。それゆえ、ゴスデン調教師らと同様に、同馬が来年の4歳シーズンも現役を続行することを強く望んでいる。

 同騎手はこう語った。「エネイブルは今年、ずっと好調でした。どのようなレースだろうと、ジョッキーは彼女に乗ることを夢見ています。もちろん、来シーズンも競走し続けてほしいです。私たちは挑戦し続け、トレヴの偉業に倣い、凱旋門賞をもう一度勝つことができるでしょう」。

 馬主のカリド・アブドゥラ殿下は以前、スポーツマンシップに則って、優良牝馬ミッデイ(Midday)に5歳まで現役を続けさせた。デットーリ騎手とゴスデン調教師は、この事実に勇気づけられるかもしれない。殿下はまた、フランケルに"史上最強馬"の地位を確立させるために、予定より1年長く現役を続けさせた。

 しかし、殿下のレーシングマネージャーであるテディ・グリムソープ(Teddy Grimthorpe)氏は10月2日、何も明言せず、どのような可能性も除外しなかった。

 グリムソープ氏はこう語った。「今朝、エネイブルは元気いっぱいでした。凱旋門賞で優勝することは私たちにとって重要な目標でしたので、昨日は格別な日になりました。フランキーの凱旋門賞5勝目、アブドゥラ殿下にとっての凱旋門賞5勝目、エネイブルにとってのG1・5勝目となりました。まったく、凄いパフォーマンスでした」。

 「私たちはエネイブルの様子を見守り、アブドゥラ殿下に折を見て相談したいと思います。しかし、来シーズンについての決定を急ぐ必要はありません」。

 すべての関係者は、エネイブルが今年はもう出走しないことで合意している。ブックメーカーは、エネイブルがトレヴの偉業に倣って来年の凱旋門賞で優勝することに4.5倍のオッズをつけている。凱旋門賞はこの2年間、ロンシャン競馬場が工事中のため、シャンティイ競馬場で開催された。来年は従来のロンシャン競馬場で施行される。



カリド・アブドゥラ殿下の凱旋門賞優勝馬

1985年レインボークエスト(Rainbow Quest)

ジェレミー・トゥリー(Jeremy Tree)調教師が管理した4歳馬レインボークエストはアブドゥラ殿下に凱旋門賞初優勝をもたらした。パット・エデリー騎手が、先頭で入線したサガス(Sagace)に進路を妨害されたと異議を申し立てたことで、この競走結果は裁決室で決定された。

1986年ダンシングブレーヴ(Dancing Brave)

アブドゥラ殿下はすぐに凱旋門賞2勝目を挙げた。ガイ・ハーウッド(Guy Harwood)調教師が管理するダンシングブレーヴは、凱旋門賞史上最高のパフォーマンスの1つを見せた。エデリー騎手を背に、最高レベルの馬を相手にコースレコードで圧勝したのだ。

2006年レイルリンク(Rail Link)

アンドレ・ファーブル調教師は、緑・ピンク・白の勝負服に3勝目をもたらした。ステファーヌ・パスキエ(Stephane Pasquier)騎手がプライド(Pride)を首差に下してレイルリンクを勝利へと導いたのだ。ディープインパクトは3位、ハリケーンラン(Hurricane Run)は4位で入線した。

2010年ワークフォース(Workforce)

サー・マイケル・スタウト調教師とライアン・ムーア騎手のコンビで勝ち取った勝利。英ダービー馬ワークフォースは、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)でがっかりするようなパフォーマンスしかできなかった。そのため、凱旋門賞への出走を決定したのはレースのわずか3日前だった。

By Stuart Riley

[Racing Post 2017年10月2日「Enable as good as I've ever ridden says lovestruck Dettori」]


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