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海外競馬ニュース
2017年04月06日  - No.14 - 4

厩務員の名称"ステーブルラッド"の使用をやめる取組み(イギリス)[その他]


 競馬界は新たな試みとして、厩務員に対する"ステーブルラッド"と"ステーブルラス(女性厩務員)"という名称を排除しようとしている。

 競馬界が多くの若者たちに厩舎での仕事の魅力を感じてもらおうと努力しているときに、馬主や調教師が気詰まりを感じているのは、現在使われている厩務員の名称である。

 競馬界の求人サイト(www.careersinracing.com)では、厩務員の新たな名称として、"レーシンググルーム"、"ワークライダー"、"レーシングスタッフ"、"ステーブルスタッフ"が使われている。

 競馬界のブランドを再構築するための最新の取組みでは、19~20世紀の厩務員のイメージを取り除き、この職業に必要な熟練性とその恩恵について強調しようとしている。

 競馬界は厩務員の不足と高い離職率の問題に取り組んできたが、BHA(英国競馬統轄機構)の統計によれば、毎年1,700名の厩務員の求人募集広告に対して採用は1,300名にとどまっている。このため、年間最多で500名の厩務員の不足が生じており、それを埋め合わせるのに苦労している調教師もいる。

 各競馬団体は団結して、若者を引き付けようと取り組んでいる。全国調教師連合会(National Trainers Federation)のCEOルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は3月12日、こう語った。「最近開催されたインダストリーロードショー(Industry Roadshows)においてこの問題が取り上げられ、競争の激しい労働市場で若者を引き付ける必要性がクローズアップされました」。

 「求人広告の職務説明は具体的なものではないので、若者に馴染まれ、学校や保護者の関心を引き、厩舎での仕事に興味を持ってもらうのに適切な職名を定着させることが重要です」。

 BHAのメディア担当理事であるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏はこう語った。「"ラッド"や"ラス"といった名称は、英国競馬界において馬に一流のケアを提供する厩務員の技術や献身的姿勢を適切に示していません。"レーシンググルーム"のほうがずっと適切です」。

 「競馬界は厩務員に対する待遇の向上をはかっており、競馬界で働くのに今ほど良い時期はありません。素晴らしい動物がいる環境で働き、国内で2番目に多くの観客を集めるスポーツである競馬に関わるチャンスを手にできます。また、組合で合意された給与体系・賞金プール・労働衛生・年金・保険制度の恩恵を受けられます。さらに、新たに開始された職業相談や職業訓練を利用することもできます」。

6,600人以上の会員からなる英国厩務員協会(National Association of Stable Staff)のCEOジョージ・マクグラス(George McGrath)氏はこの措置を歓迎し、こう語った。

 「これは前向きな取組みであり、プロの労働者にプロフェッショナルな名称を与えるものです」。

 「"ラッド"や"ラス"という名称は、"馬が大好きな思春期前の子供"という現実にはほど遠いイメージを呼び起こします。私はいつも"レーシングスタッフ"と呼んでいます。厩務員の10人中9人が銀行でローンを申請するときに、職業を良く見せるために"農業従事者"と記入しているようです。私たちは、厩務員という職業に一層プロフェッショナルなイメージを作り出す必要がありました」。

By Bruce Jackson

[Racing Post 2017年3月13日「End for lads and lasses in new BHA initiative」]


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