TOPページ > 海外競馬ニュース > シャーガーの騎手、スウィンバーン氏が55歳で死去(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2016年12月15日  - No.50 - 1

シャーガーの騎手、スウィンバーン氏が55歳で死去(イギリス)[その他]


 最も洗練された騎手の1人ウォルター・スウィンバーン(Walter Swinburn)氏(55歳)は自宅で静かに息を引き取り、卓越したダービー馬シャーガー(Shergar)と永遠のコンビを組むことになった。

 "クワイアボーイ(Choirboy)"の愛称で親しまれたスウィンバーン氏はまだ19歳だった1981年に、サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師が管理したシャーガーを英ダービー(G1)で揺るぎない10馬身差の勝利に導いた。

 スウィンバーン氏は1986年にはシャーラスタニ(Shahrastani スタウト厩舎)で、その9年後にはラムタラ(Lammtarra)で同レースを制した。

 スタウト調教師はこう語った。「ウォルターは、生まれながら馬を扱う技術を持ったホースマンでした。ビッグレースの日でも落ち着き払っていて、そつなく騎乗しました。レースにおいては素晴らしい位置感覚を持ち、それが勝利に寄与しました」。

 「ウォルターとは共に多くの素晴らしい日々を過ごしましたが、彼がまだ19歳の時に我々にとって初のダービー制覇を果たしたことが、一番心に残る快挙だったと言えるでしょう。ピルサドスキー(Pilsudski 1997年ジャパンカップ優勝馬)のBCターフ(G1)優勝も、我々にとって初のブリーダーズカップでの優勝だったのでとても印象的です。彼がいなくなると大変寂しくなります」。

 オックスフォード出身のスウィンバーン氏は1978年7月12日にケンプトン競馬場で、パディーズラック(Paddy's Luck)に騎乗して初勝利を果たした。しかし、最も注目を集めたのは、英ダービーでシャーガーを楽勝させた名騎乗である。

 その輝かしいキャリアにおいて、凱旋門賞(G1)やBCターフをはじめ多くのG1優勝を達成したスウィンバーン氏は、浮き沈みの激しい騎手生活を送った。2004年に調教師として開業しG3競走を4勝したが、2011年に免許を返上した。

 スウィンバーン氏は1996年2月に香港のシャティン競馬場で猛烈な勢いで柵に衝突し、生死のはざまをさまよった。その時騎乗していた馬はブリンカーを付けたのが初めてであったリフィーリヴァー(Liffey River)で、スウィンバーン氏は地面に叩きつけられ、肩甲骨・鎖骨・肋骨の骨折、肺破裂などの重傷を負い、4日間昏睡状態となった。

 スウィンバーン氏はその6ヵ月後に復帰を果たし、1996年11月にBCターフでピルサドスキーに騎乗してウィナーズサークルに立った。しかし、その後減量に苦しむようになり、2000年に騎手を引退した。

 サイエダティ(Sayyedati)、ミュージカルブリス(Musical Bliss)、ハトゥーフ(Hatoof)、ドユーン(Doyoun)などもクラシック優勝に導いたスウィンバーン氏は、英国で最も偉大な騎手の1人に違いないが、そのまま王座に留まるのではなく、調教師のキャリアを選んだ。

 主に義父のピーター・ハリス(Peter Harris)氏のためにハートフォードシャー州で調教活動をしていたスウィンバーン氏は、7シーズンで250勝を挙げた。ジュリエナス(Julienas)ではロイヤルアスコット開催のロイヤルハントカップを制した。しかし2011年に商業的な理由のために調教活動を終了した。馬主たちに宛てられた書簡には、"大変残念ながら"引退を決意したと記されていた。

スウィンバーン氏の経歴

1961年8月7日にオックスフォードで誕生。

本名はウォルター・ロバート・ジョン・スウィンバーン(Walter Robert John Swinburn)。

父ウォリー・スウィンバーン(Wally Swinburn)氏は元騎手で1976年と1977年のアイルランドのリーディングジョッキー。

1977年~1980年 フレンチー・ニコルソン(Frenchie Nicholson)厩舎(チェルトナム)で見習騎手を務める。

1978年7月12日 ケンプトン競馬場においてパディーズラックで初勝利。

1979年シティアンドサバーバンHをドゥーガリ(Doogali)で優勝。

<主な勝鞍>

英ダービー:1981年シャーガー、1986年シャーラスタニ、1995年ラムタラ

キングジョージ6世&クイーンエリザベスS:1981年シャーガー

凱旋門賞:1983年オールアロング(All Along)

愛ダービー:1983年シャリーフダンサー(Shareef Dancer)、1986年シャーラスタニ

BCターフ:1996年ピルサドスキー

その他の英国クラシック:ユナイト(Unite 1987年オークス)、ドユーン(1988年2000ギニー)、ミュージカルブリス(1989年1000ギニー)、ハトゥーフ(1992年1000ギニー)、サイエダティ(1993年1000ギニー)

英チャンピオンS:1993年ハトゥーフ

クイーンエリザベス2世S:1982年ブザーズベイ(Buzzards Bay)、1985年シャディード(Shadeed)、1989年ジルザル(Zilzal)

ワシントンDCインターナショナルS:1983年オールアロング

最多勝シーズン:113勝(1990年)

英国での勝利数:1,392勝(1978年~2000年)

By Jack Haynes

[Racing Post 2016年12月12日「Three-time Derby hero Swinburn dies at 55」]


上に戻る