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2016年09月15日  - No.37 - 3

2016年アルカナ社8月1歳セール、低価格層の取引が低調(フランス)[生産]


 2016年アルカナ社8月1歳セール(Arqana August Yearling Sale 8月14日~16日にドーヴィルで開催)の平均価格は前年より低下した。低価格馬の取引で最も打撃があったようだ。


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 最高価格から最低価格までの落札価格を順に並べて4等分し、高い順から「第1価格帯」、「第2価格帯」、「第3価格帯」、「第4価格帯」とした。それらを2015年の数字と比較すると、第4価格帯の平均価格は前年比14%減の2万9,818ユーロ(約343万円)となった。

 また、第3価格帯の平均価格も前年比8%減の6万4,407ユーロ(約741万円)となった一方で、第2価格帯の平均価格は前年比7%増の11万8,876ユーロ(約1,367万円)となった。

 "他の多くの購買希望者と競り合っても、結局いつも落札できなかった"と不満を漏らすエージェント(馬売買仲介者)もいたが、第2価格帯の平均価格の上昇はこれを裏付けるものである。

 第1価格帯の平均価格は前年比15%減の31万7,529ユーロ(約3,652万円)となった。しかし、昨年はゴドルフィンのジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏が、ドバウィ産駒を過去最高価格の260万ユーロ(約2億9,900万円)で落札して注目を集めたことに留意しておきたい。

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 今年の最高価格は"たった"140万ユーロ(約1億6,100万円)なので、中間価格で比較するほうがより適切だろう。今年の第1価格帯の中間価格は26万ユーロ(約2,990万円)であり、引き続き堅調であった。

 実際、第2価格帯の中間価格は前年比13%増の12万ユーロ(約1,380万円)となったが、第3・第4価格帯の中間価格は前年と比較して14%低下した。

 とりわけファーガソン氏が今年のアルカナ社8月1歳セールで1頭も購買しなかったのに、第1価格帯と第2価格帯の中間価格が比較的上昇傾向にあった事実は、良質馬の販売者を楽観的にさせたはずである。

 ファーガソン氏は昨年のこのセールで約700万ユーロ(約8億500万円)を支出した。しかし、今年の売上総額は昨年と比較して約200万ユーロ(約2億3,000万円)減少しただけであり、裕福な馬主はゴドルフィンだけではないことが示された。

 ゴドルフィンの役目を引き継いだ馬主は、シャドウェル牧場(Shadwell)やジャン-クロード・ルジェ(Jean-Claude Rouget)調教師などである。シャドウェル牧場はこのセールで2015年よりも約150万ユーロ(約1億7,250万円)多く支出し、ルジェ調教師のこのセールでの支出額は100万ユーロ(約1億1,500万円)増えた。

 最高価格帯が堅調な一方で低い価格帯が低調な傾向は、仕上がり早の1歳馬に限定したアルカナ社V.2セール(8月17日)でも見られた。

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 第4価格帯の平均価格は前年比21%減の1万533ユーロ(約121万円)となり、第3価格帯の平均価格は前年比4%減となった。

 一方、第2価格帯の平均価格は前年比15%増と極めて好調で、第1価格帯の平均価格も前年比9%増となった。

 全体的には、アルカナ社8月セールからのメッセージは「最高級の馬の取引は堅調だが、低質馬の取引は荒れ模様」という月並みなものである。

 たしかに、今年のアルカナ社8月1歳セールの平均価格は2015年と比較して低下した。しかし、2015年の同セールは、取引に信じられないほどの活気があり、売上げ・平均価格・中間価格・最高価格のどれもが、リーマンショック前の記録を破り史上最高となった。そのことは重要な補足説明として勘案されなければならない。

 今年のアルカナ社8月1歳セールは、英国のEU離脱が引き起こした市場の不確実性にもかかわらず、最高記録からさほど遠くない数字を達成し、実際、中間価格では新記録を作った。生産者や販売者にとっては、祝うべき結果であるはずだ。

By Martin Stevens

(1ユーロ=約115円)

[Racing Post 2016年8月20日「Robust trade in top tier but bottom sector hit」]


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