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2016年04月07日  - No.14 - 1

世界中を遠征したヒーロー、シリュスデゼーグルが引退(フランス)[その他]


 世界中を遠征した競走馬の中で最も愛された1頭であり、欧州調教馬として史上最高の賞金額を獲得したシリュスデゼーグル(Cirrus Des Aigles)が引退した。

 コリーヌ・バランド-バルブ(Corine Barande-Barbe)調教師により管理されたシリュスデゼーグル(10歳)は、600万ポンド(約9億3,000万円)以上の賞金を獲得し、3ヵ国でG1を制した。勝鞍にはドバイシーマクラシック(G1)、英国チャンピオンS(G1)、コロネーションカップ(G1)、ガネー賞(G1)などがある。

 強靭さと持久力に定評のある同馬は"戦うシリュス"という異名をとる。記憶に残る勝利には、一番得意とするロンシャン競馬場でトレヴ(Treve)を短クビ差で破った2014年ガネー賞がある。

 フェイスブックのファン向けページでは、最近の調教でバランド-バルブ調教師が"シリュス"は全力を発揮していないと感じたことから、獣医師の検診を受けさせたと説明されている。

診断結果は種子骨の靭帯の石灰化であった。この症状は競走中に全速力で走れば靭帯断裂につながるので、健康なうちに引退させるという決定が下された。

 フェイスブックには、"シリュス"が引退生活を送るための牧場に移るまで、しばらくバランド-バルブ厩舎に留まることも記されていた。


大器晩成型の馬

 ジャン-クロード-アラン・デュプイ(Jean-Claude-Alain Dupouy)氏が所有するシリュスデゼーグルが長年にわたり競走生活を送ることができたのは、家族の一員のように扱った調教師の献身的な愛情によるところが大きい。また、せん馬であることも大きな要因だが、そのために故郷フランスの凱旋門賞など多くのG1競走に出走できなかった。

 しかしフランスで出走機会が限られていたことで、バランド-バルブ調教師は賞金を求めて"シリュス"をドバイ・香港・日本・英国・アイルランドなどへ遠征させることに誇りと喜びを見出し、これが海外のレースでの活躍につながった。

 "シリュス"の偉業の多くは、競走生活後半に達成された。8歳と9歳の時にG1・4勝を果たした。2015年にはイスパーン賞(G1)でアルカジーム(Al Kazeem)を破り驚異的な勝利を収めた。


英国でも活躍

 得意のロンシャン競馬場以外では、シリュスデゼーグルは英国で多くの素晴らしいパフォーマンスを見せた。2011年には、第1回英国チャンピオンズデーの英国チャンピオンS(G1・アスコット競馬場)でG1初優勝を達成した。

 フランスでG1に出走するチャンスが限られていたことから、バランド-バルブ調教師はこう語った。「これは重要な意味を持つ勝利です。"シリュス"が優良馬だといつも考えてきたので、馬主とチーム全員とともにこの快挙を喜んでいます」。

 "シリュス"は英国チャンピオンSにさらに3回出走し、怪物フランケル(Frankel)が現役最後に出走した2012年英国チャンピオンSで、いっとき脅威を与えた。

 フランケルは引退したが、"シリュス"はさらに4年現役を続けた。そして2014年コロネーションカップ(エプソム競馬場)を制し、英国でG1・2勝目を挙げた。しかし、故障のため入線後すぐに騎手が下馬するというアクシデントがあった。

 この時の"シリュス"のパフォーマンスとバランド-バルブ調教師の反応は、このコンビの関係をよく物語っていた。「彼を誇りに思います。戦い、そして勝つことを愛する勇敢な馬です」と同調教師は語った。


欧州調教馬として最高の賞金額を獲得

 シリュスデゼーグルは競走生活においてG1・7勝を含む22勝を挙げ、そのうち13勝はロンシャン競馬場においてであった。そして、1着賞金と入着賞金を合わせて6,179,490ポンド(約9億5,782万円)を獲得した。

 2011年には、"シリュス"は欧州の最優秀古馬に選出された。

By Peter Scargill

(1ポンド=約155円)

(関連記事)
海外競馬情報2014年No.5「トレヴ、シリュスデゼーグルに一敗を喫す(フランス)」、
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[Racing Post 2016年3月28日「International hero Cirrus Des Aigles retired」]


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