スペインで8ヵ月ぶりの競馬開催（スペイン）［開催・運営］

　窮地に立っているスペイン競馬界に、朗報がもたらされた。昨年11月以来、待ち望まれていた競馬開催が、7月26日、サンセバスティアン競馬場で施行される。

　映像権を巡る対立が原因で、1月18日にカタルーニャ地方のビラセカ競馬場において施行された3レース以外、昨年11月30日からスペイン国内で競馬は開催されていない。映像権に係る訴訟は、7月前半に終了し、SFCCE（Sociedad de Fomento de la Cria Caballar de Espana）がスペインの競馬統轄機関であることが確認された。SFCCEは1841年からスペインの競馬統轄機関であり、現状確認のためだけに、なぜ8ヵ月間もの競馬開催中止が必要であったかについては曖昧にされた。

　サンセバスティアン競馬場は、7月26日、8月3日・9日・15日・23日・31日、9月7日・11日に競馬を開催し、リステッド競走（準重賞）2レースと高額賞金の2レースを施行する。
By Guy Butchers

　ダンロップ調教師、スペインに遠征予定

　遠征に積極的なエド・ダンロップ（Ed Dunlop）調教師は、8月にスペイン北部のサンセバスティアン競馬場に管理馬を出走させ、新境地を開く。

　ダンロップ調教師ほど、世界中で管理馬を走らせている調教師はいないだろう。ジョシュアツリー（Joshua Tree）、レイラニ（Lailani）、フラウライン（Fraulein）、ウィジャボード（Ouija Board）、レッドカドー（Red Cadeaux）、スノーフェアリー（Snow Fairy）で、カナダ、香港、日本、米国のG1競走を制してきた。さらに、レッドカドーは、豪州とドバイでも健闘してきた。

　“スペインのドーヴィル競馬場”であるサンセバスティアン競馬場のリステッド競走は、他国のレースと比較すれば劣っているかもしれない。しかし、ダンロップ調教師は、スペインで成功を収めたポール・ウェバー（Paul Webber）調教師に刺激を受け、2014年英国ダービー（G1）5着馬レッドガリレオ（Red Galileo）と、2014年ベットフレッドマイル優勝馬レッドアヴェンジャー（Red Avenger）を出走登録している。

　ダンロップ調教師は、次のように語った。「ウェバー調教師は、スペイン遠征がどれだけ素晴らしいか、いつも私に話します。ご存じの通り、私は遠征好きです」。

　「まず、レッドアヴェンジャーは、昨年優勝したグッドウッド競馬場のベットフレッドマイル（7月31日）に出走します。状態がよければ、サンセバスティアン競馬場のリステッド競走“バスク政府賞（1600m・8月23日）”への参戦を検討します。また、同場のリステッド競走“金杯（2400m・8月15日）”に出走登録しているレッドガリレオは、前2走が凡走でしたので、休養明け1戦目としてグッドウッド競馬場のグロリアスS（G3・7月31日）に出走させる予定です」。

　「まず、グッドウッド開催で様子を見ますが、スペイン遠征は魅力的なアイデアです」。

　欧州中の調教師、レーシングマネージャーおよび馬主を対象としたキャンペーン（レーシングポスト紙やジュールドギャロ紙に、広告・記事を掲載）が功を奏し、初めて、地元馬より外国馬の出走登録が上回った。

　今年、リステッド競走2レースには、合計27頭の外国馬が出走登録され、過去３年各年の11頭、15頭、19頭を上回った。

　2012年と2014年のサンセバスティアン大賞を、オーストラリアデイ（Australia Day）とティンダーロ（Tindaro）で制したウェバー調教師は、4年連続でスペインに遠征する。また、トム・ダスコンブ（Tom Dascombe）調教師は、ポラーアイズ（Polar Eyes）を出走登録している。

サンセバスティアン競馬場のリステッド競走2レースへの出走登録頭数

By Graham Dench

［Racing Post 2015年7月22日「Racing again in Spain for first time since November」、7月27日「Dunlop planning raid on ‘Spanish Deauville’」］