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2014年11月27日  - No.47 - 2

2014年ブリーダーズカップ開催の勝馬の血統的背景(アメリカ)[生産]


バイエルンのBCクラシック優勝はトルコ生産界への後押し

 11月1日(土)サンタアニタ競馬場で施行されたBCクラシック(G1)でのバイエルン(Bayern)の手に汗握るような優勝は、トルコ生産界にとって大きな後押しとなるだろう。同馬の父オフリーワイルド(Offlee Wild)をトルコで供用する契約が10月に締結されたことで、種付けを待つ行列ができることは間違いない。

 ボブ・バファート(Bob Baffert)厩舎のバイエルンは、馬主がカリーム・シャー(Kaleem Shah)氏で、ヘレン・アレクサンダー(Helen Alexander)氏によりケンタッキーで生産された。7月にモンマスパーク競馬場のハスケル招待S(G1)を制したこの3歳馬は、2歳のときにファシグ・ティプトン社(Fasig-Tipton)のセリで32万ドル(約3,680万円)で落札された。

 バイエルンの父で現在14歳のオフリーワイルド(父ワイルドアゲイン)は、米国で6勝し、ベルモントパーク競馬場のサバーバンH(優勝時の2005年はG1)を優勝して競走生活を締めくくった。

 オフリーワイルドはジョナベルファーム(Jonabell Farm)で種牡馬生活を開始し、その後、2012年にピンオークレーンファーム(Pin Oak Lane Farm)に移った。2009年には北米でリーディング新種牡馬となっている。エクリプス賞を制した2歳牝駒シービーワイルド(She Be Wild)はオフリーワイルドの産駒で、同馬の種牡馬としての成功に大きく貢献した。彼女は2歳のシーズンに5戦4勝の成績を残している。

 オフリーワイルドの母アルヴェアル(Alvear)はシアトルスルー(Seattle Slew)産駒で、優良種牡馬ダイナフォーマー(Dynaformer)の半妹である。オフリーワイルド自身は、G2勝馬サングリタ(Sangrita)の半兄であり、重賞勝馬ロックオブロシェル(Rock Of Rochelle)とサイレントタイムズ(Silent Times)の母馬の全弟である。

 バイエルンの母は未出走牝馬アリトルビットアーリー(Alittlebitearly)(父サンダーガルチ(Thunder Gulch))で、ジュライS(G2)勝馬ベルトリーニ(Bertolini)と米国でステークス競走を制したアメリア(Amelia)の半妹である。

 さらに遡れば、アリトルビットアーリーはG1馬アーチ(Arch)やジュライカップ(G1)勝馬グリーンデザート(Green Desert)を出したファミリー(牝系)の出身である。


国際色豊かなBCマイル勝馬カラコンティ

 11月1日のカラコンティ(Karakontie)のBCマイル(G1)優勝は、ブリーダーズカップ開催に国際色豊かな雰囲気をもたらした。

 カラコンティは、アイルランドG3勝馬バーンスタイン(Bernstein 2011年死亡)の産駒で、生産されたのは日本であり、鞍上はフランス人騎手、管理はフランス拠点のイギリス人調教師が行っている。

 すでに仏2000ギニー(G1)とジャンリュックラガルデール賞(G1)を制していたジョナサン・ピーズ(Jonathan Pease)厩舎のカラコンティは、ミエスク(Miesque)の馬主ニアルコスファミリー(Niarchos family)により所有されている。また、ブラックタイプ勝馬ボッテガ(Bottega)とサンデーサンライズ(Sunday Sunrise)の半弟である。

 カラコンティの母サンイズアップ(Sun Is Up)が豪州産の南アフリカG1馬アマニー(Amanee)の半姉であることも、カラコンティのプロフィールを一層国際色豊かにしている。


BCフィリー&メアスプリントの上位2頭はゴーストザッパー産駒

 ロンスターパーク競馬場でのまばゆいばかりのBCクラシック優勝から10年後、ゴーストザッパー(Ghostzapper)はその産駒がワンツーフィニッシュを決めたことで、ブリーダーズカップで更なる快挙を成し遂げた。

 ゴーストザッパー産駒のジュディザビューティ(Judy The Beauty)は異母姉妹ベターラッキー(Better Lucky)からG1優勝を勝ち取った。ジュディザビューティを所有するウェスリー・ウォード(Wesley Ward)調教師は、2010年キーンランド9月1歳セールで生産者のアデナスプリングス社(Adena Springs)から同馬をたった2万ドル(約230万円)で購買した。このG1競走2勝馬は、ガゼルS(G1)勝馬インザゴールド(In The Gold)を出したファミリー(牝系)の出身である。


BCターフスプリントなどでキトゥンズジョイ産駒が健闘

 ボビーズキトゥン(Bobby’s Kitten)はBCターフスプリント(G1)で最後方から先頭に立ち、息を飲むような競馬をした。同馬のオーナーブリーダーはケン&サラ・ラムジー(Ken and Sarah Ramsey)夫妻である。

 ボビーズキトゥンはキトゥンズジョイ(Kitten’s Joy)産駒であり、そのプロフィールには、ブライアン・ミーハン(Brian Meehan)厩舎のG1競走3勝馬デヴィッドジュニア(David Junior)やG1馬のパラダイスクリーク(Paradise Creek)、そしてフォービドゥンアップル(Forbidden Apple)が名を連ねる(訳注:パラダイスクリークとフォービドゥンアップルの母ノースオブエデン(North Of Eden)は、デヴィッドジュニアの母の母であり、ボビーズキトゥンの母の母の母である)。

 ボビーズキトゥンは今回のブリーダーズカップで勝利を収めた唯一のキトゥンズジョイ産駒だが、他の同馬の産駒の中では、ラックオブザキトゥン(Luck Of The Kitten)がBCジュベナイルターフ(G1)2着、ステファニーズキトゥン(Stephanie’s Kitten)がBCフィリー&メアターフ(G1)2着とまずまず健闘した。

By Tom Pennington and Alastair Bond
(1ドル=約115円)

[Racing Post 2014年11月3日「Bayern strike a boost for Turkish breeding industry」]


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