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2014年10月23日  - No.42 - 1

英愛ダービー馬オーストラリアが引退(アイルランド)[その他]


 英ダービー(G1)、愛ダービー(G1)およびインターナショナルS(G1)を制したオーストラリア(Australia)は、蹄膿瘍により生じた蹄の故障のため10月11日に引退が発表され、クールモア牧場の父ガリレオ(Galileo)のそばで供用されることとなった。

 エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師が昨年“これまで管理した中で最高の馬”と言い表したG1競走3勝馬は、10月18日にアスコット競馬場のチャンピオンS(G1)に出走し競走生活を締めくくる予定であったが、それができる状態にないことが判明したため、引退が決定された。

 8戦すべてで手綱を取ったジョセフ・オブライエン(Joseph O’Brien)騎手は、この英愛ダービー馬を“究極の紳士(absolute gentleman)”と表現した。

 同騎手は10月11日にニューマーケットで次のように語った。「オーストラリアはスピードがあるものの道中落ち着いているのでスタミナもありました。とてつもなく優れた馬でした。騎手の目から見て、何もかも容易にやってのける理想的な馬である上に、振る舞いが素晴らしく、気品が備わっていました」。

 「英ダービーを勝った時に一番胸が高鳴りました。表現するのは本当に難しいのですが、オーストラリアは偉大な馬であるオーラを出しており、優れた乗りやすい馬でした。愛チャンピオンS(G1)は、明らかにうまいレース運びができませんでした。ザグレイギャッツビー(The Grey Gatsby)と同じように走っていたなら、3〜4馬身差をつけて簡単に勝つことができたでしょう。もし彼がもう一度同じレースに出走したとすれば、私は違う乗り方をするでしょう」。

 「競馬に勝って勝負に負けたという感じではないでしょうか?このようなことは二度と起きないことは分かっています。再び出走してアスコットでザグレイギャッツビーに復讐することを望んでいましたが、それができなくなってしまいました」。

 「オーストラリアの適正距離は1マイル〜1マイル1/4(約1600m〜2000m)だったと考えています。競走するのが大好きな凄い馬でした。コンビを組めたのは素晴らしいことでした」。

 オーストラリアが時期を早めて現役を引退するというニュースは、チャンネル4のモーニングライン(Morning Line)で報道された。クールモア牧場のスポークスマンであるケビン・バックリー(Kevin Buckley)氏は、後肢の蹄に生じた故障がこのスター牡馬を牧場入りさせる決断につながったと語った。

 バックリー氏は次のように語った。「オーストラリアの右後肢の蹄に生じた故障は不運にも1週間で重症化してしまいました。バリードイルに常駐している装蹄師、私たちの獣医師そして共同馬主それぞれと行った協議の結果、引退させてクールモア牧場で供用することに決定しました。私たちは皆、チャンピオンSを楽しみにしていましたが、誰もが認めるとおり、このような故障は調教を不可能にしてしまい、それゆえ私たちはチャンピオンズデーに向けて準備ができていないという決断を下さなければなりませんでした」。

 バリードイル常駐の装蹄師であるジェフ・ヘンダーソン(Jeff Henderson)氏は次のように語った。「週の初めに、オーストラリアが蹄踵(heel)にわずかな痛みを感じていることが発覚し、私たちは蹄膿瘍を疑いました。湿布をはがしたところ、感染症に罹っていることが判明し、回復させる手立てがありませんでした。2〜3日後には跛行していて、検査で感染症が蹄の上下に広がっていることが分かりました」。

 「このような症例では、再び競走させるには数週間安静させる必要がありますが、その間に競走能力が低下するので、オーストラリアはチャンピオンズデーに出走できないことになりました」。

 クールモア牧場の販売部長であるデヴィッド・オロークリン(David O’Loughlin)氏は次のように語った。「オーストラリアが再び競走するところを見ることができないのは本当に残念なことですが、2015年にクールモア牧場でその偉大な父ガリレオのそばで供用されることには満足しています。同馬には人々が種牡馬に期待するあらゆる要素が備わっています」。

 オーストラリアは通算8戦で最初と最後のレースは敗戦となったが、5勝を挙げていることで、その調教師の高い評価をある程度正当化することができる。

 オーストラリアは、2013年6月にカラ競馬場でのデビュー戦でスタートが遅れクビ差で2着に敗れたものの、その後シーズン中に2戦2勝を果たし、レパーズタウン競馬場のBCジュヴェナイルターフトライアルS(G3)で2着のフリーイーグル(Free Eagle)に6馬身差で優勝するという好成績を収め、英ダービーの一番人気馬に浮上した。

 英2000ギニー(G1)でナイトオブサンダー(Night Of Thunder)とキングマン(Kingman)に先着を許し3着となった後、英ダービーとカラ競馬場の愛ダービーを優勝した。その後競走距離を10ハロン(約2000m)に縮め、ヨーク競馬場のインターナショナルS(G1)でザグレイギャッツビーを破って優勝した。そして、最後の出走となった9月のレパーズタウン競馬場での愛チャンピオンS(G1)では、ザグレイギャッツビーにクビ差で敗れた。


エイダン・オブライエン調教師のコメント

 オーストラリアの蹄の故障は、シーズン終盤に起こったので、非常に不運でした。これが夏に起きていたら、休養させることができ、再び出走させることができたでしょう。しかし、最悪の時期に起きてしまいました。

 毎年この時期にはトップクラスの馬の将来について話し合い、結論を下さなければなりません。オーストラリアに故障が生じたために、彼の将来について決断をしなければならず、引退させて種牡馬入りさせることになりました。

 私たちは彼がもっと実力を発揮するだろうと考えていたので、このような形で競走生活が終わってしまうのは残念なことです。しかし、彼のような馬はこれ以上走らせるべきでなく、安全策が取られるべきです。

 オーストラリアはいつもワクワクさせてくれる馬でした。私たちは1日目からそのことを感じており、実際英ダービーと愛ダービーなどG1競走を3勝し、多くの偉業を成し遂げました。

 調教場で素晴らしい能力を見せていたので、参戦するレースはいつも楽しみでした。調教している時も競走している時も、素晴らしいことが起きるに違いないと思っていました。いつも並外れた馬だと考えていたので、彼がアスコット競馬場のチャンピオンSで走ることを楽しみにしていました。

 ここにいる誰もが彼のことが大好きで、彼が引退した今、皆寂しい思いをすることになりそうです。

 

数字で見るオーストラリアの競走生活

 通算成績:8戦5勝

 G1優勝:3回

 競走で走った距離:9マイル(約14.5 km)

 獲得賞金:200万ポンド(約3億5,000万円)

 負かした相手:60頭

 最高レーティング:RPR129

 騎乗した騎手:1人

 

By Tony O’Heir
(1ポンド=約175円)

[Racing Post 2014年10月12日「Australia retired to stud after foot injury」]


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