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海外競馬ニュース
2013年06月20日  - No.25 - 1

ジャドモントファーム、持ち馬の一部売却を発表(国際)[生産]


 ジャドモントファーム(Juddmonte Farms)を所有するカリド・アブドゥラ殿下(Khalid Abdullah)は、その世界的な馬事業の一部を手放す計画であることを同ファームのCEOが本誌に認めた。

 英国のヘンリーとテットベリー、アイルランドおよび米国ケンタッキー州にあるジャドモントファームの牧場に、サウジアラビアの殿下は900頭を所有している。その中には、ニューマーケットの近くのバンステッドマナースタッド(Banstead Manor Stud)で1年目の種牡馬生活を過ごしている、1億ドル(約150億円)の無敗馬フランケル(Frankel)もいる。

 種牡馬は、オアシスドリーム(Oasis Dream)、ダンジリ(Dansili)およびレイルリンク(Rail Link)のほか、米国の種牡馬ファーストディフェンス(First Defence)やミズンマスト(Mizzen Mast)である。同ファームは、毎年欧州で約120頭、米国で約65〜70頭生産しており、今までに80頭のG1勝馬を送り出している。

 先月英国競馬界において、欧州競馬を舞台に目覚まし活動を行っているカタールのジョアン=アル・サーニ殿下(Sheikh Joaan Al Thani)に対し同ファームが多数の馬を売却するという噂が流れた。これに対しジャドモントファームは、噂を否定し、計画されている持ち馬の売却規模と意図を明らかにする声明を発表した。同牧場のCEOダグラス・アースキン-クラム(Douglas Erskine-Crum)氏はこの措置は殿下の競馬界からの撤退を示すものではないと語った。

 アースキン-クラム氏は本誌に対し、この計画がアブドゥラ殿下の所有財産の“事業見直し”のほんの初期段階にあるので、売却の規模やフランケル(Frankel)が売却対象になるかどうかは明らかにできないと語った。そして、この売却は年内に行われるだろうが、“どの馬を誰に売却するか”についてはまだ決定されていないと加えた。

 アースキン-クラム氏はデイリーメール紙(Daily Mail)に対しても、「アブドゥラ殿下はいくらかの売却を行うことを決めましたが、どの馬を売却するかなど計画の内容は固まっていません。まだ初期段階であり、検討を始めたところです。このことが競馬界からの完全撤退でないことは言うまでもありません。殿下の競馬への関心はまだ非常に高いです」と語った。

 アブドゥラ殿下は1937年に生まれ、1970年代後半に競馬の世界に入り、ノウンファクト(Known Fact)が1980年英2000ギニーを制したのが初のクラシック勝利であった。

 米国においてはジャドモントファームの馬の大半は、殿堂入りを果たしたビル・モット(Bill Mott)調教師によって管理されているが、同じく殿堂入り調教師ボブ・バファート(Bob Baffert)氏も同ファームの北米事業のために最近数頭の2歳馬を預かっている。モット調教師が現在預かっているトップクラスの競走馬には、4月6日キーンランド競馬場のセントラルバンクアシュランドSを制した3歳牝馬エモリエント(Emollient)、ガゼルS(G2)を優勝し5月27日のベルモントパーク競馬場のエイコーンS(G1)2着のクローズハッチズ(Close Hatches)がいる。

 米国におけるジャドモントファームのビッグレース勝馬には、2003年ベルモントS(G1)勝馬エンパイアメーカー(Empire Maker)を筆頭に、インターコンティネンタル(Intercontinental)、フルート(Flute)、サイトシーク(Sightseek)、バンクスヒル(Banks Hill)、ヴェンチュラ(Ventura)およびオネストレディー(Honest Lady)がいる。殿堂入りした故ボビー・フランケル(Bobby Frankel)調教師は、亡くなるまでジャドモントファームの北米の出走馬を管理していた。同ファームは1992年と2003年最優秀馬主賞、2001年〜2003年、2009年には最優秀生産者賞など、エクリプス賞を11回受賞している。

 欧州のジャドモントファームの馬は、主にサー・ヘンリー・セシル(Sir Henry Cecil)調教師に預託され、その他ではジョン・ゴスデン(John Gosden)、アンドレ・ファーブル(Andre Fabre)、ダーモット・ウェルド(Dermot Weld)、ロジャー・カールトン(Roger Charlton)およびチャーリー・ヒルズ(Charlie Hills)調教師も管理しており、

 1985年にレインボークエスト(Rainbow Quest)、1986年にダンシングブレーヴ(Dancing Brave)、2006年にレイルリンク(Rail Link)、2010年にワークフォース(Workforce)が凱旋門賞(G1)を4度制している。

By Claire Novak
(1ポンド=約150円)

[bloodhorse.com 2013年6月8日「Juddmonte Announces Select Stock Dispersal」]


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