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海外競馬ニュース
2012年04月19日  - No.17 - 4

ダービー卿のニューマーケット開発計画、大臣に却下される(イギリス)[その他]


 土地開発計画の紛争に関する最終的な審査を行う開発計画審査庁を管轄するコミュニティー・地方政府省のエリック・ピクルズ(Eric Pickles)大臣が、長期間議論されてきたニューマーケットの開発計画に関するダービー卿の訴えを最終的に却下したことで、ハッチフィールド牧場(Hatchfield Farm)に1,200棟の新築住宅を建設しニューマーケットの都市開発を進めるというダービー卿(Lord Derby)の計画は打ち砕かれた。

 この計画に反対していた運動家たちは3月23日夜、昨夏に開始された公式審理の裁定が思ったより早く下されたことを受けて、競馬の本拠地ニューマーケットのいたるところで祝杯をあげた。

 この5年近くにわたり開発計画に反対する戦いを主導したのは、タタソールズ社(Tattersalls)、ダーレー社、ゴドルフィン社、ジョッキークラブ・エステーツ社(Jockey Club Estates)、ニューマーケット調教師連合会(Newmarket Trainers Federation:NTF)およびニューマーケット歴史建造物保護活動団体(Save Historic Newmarket Action Group:SHNAG)などの多くの競馬関係団体である。

 これらすべての関係団体は、提案された開発計画に伴う交通量の増加が競馬産業および生産界に悪影響を及ぼすと主張していた。

 ダービー卿のハッチフィールド牧場開発計画は2010年に提出され、まずその年の6月にフォレストヒース市議会(Forest Heath District Council)により却下された。しかしその約6ヵ月後にダービー卿が土壇場で異議申立てを行ったことから、再び議論されることになった。そして公式審理が行われることとなり、昨年9月まで延々と続いていた。

 ピクルズ大臣は、この開発計画を競馬関連問題として却下するのではなく、必要性という観点から却下の裁定を下した。

 ピクルズ大臣は、「ニューマーケットの北東部に追加的な住宅需要があったとしても1,200棟もの新築住宅には結びつかないとする開発計画審査官の推論に同意する」と報告書の中で述べている。

 SHNAGのレイチェル・フッド(Rachel Hood)会長は、「このばかげた開発計画の実現に反対して地域は一丸となって取り組んできたので、この結果はニューマーケットにとって実に素晴らしい朗報です」と語った。

 そして次のように語った。「私たちはマシュー・ハンコック(Matthew Hancock)下院議員、エリック・ピクルズ大臣、タタソールズ社、ダーレー社、ゴドルフィン社、ジョッキークラブ・エステーツ社およびNTFに心から感謝の意を表したいと思います」。

 タタソールズ社のエドモンド・マホニー(Edmond Mahony)会長は次のように語った。「これは私たちが期待し望んでいた結果です。競馬界および良識にとっての勝利です」。

 ゴドルフィン社のCOO(最高執行責任者)であるヒュー・アンダーソン(Hugh Anderson)氏は、「ハッチフィールドの土地開発計画は、最初からまったく不適切でした」と語った。

 ハンコック議員は、「1,200棟の新築住宅はニューマーケットには適切ではなく、世界的な競馬の本拠地としての役割をもつ経済に損害を与えるおそれがあるとする市議会の決定を開発計画審査官は支持しました」と付言した。

 ダービー卿は、この裁定を高等法院に提訴するかどうかの決定に6ヵ月の猶予を与えられている。

 ダービー卿は次のように語った。「ピクルズ大臣の決定にはがっかりしていますが、同大臣も開発計画審査官も、この開発提案が競馬産業に悪影響を与えることはないだろうと結論付けたことに満足しています」。

「私は今後の行動方針を決める前に、開発計画審査官の報告書の内容を十分咀嚼するために時間をかけるつもりです」。

By David Milnes

(関連記事)海外競馬ニュース2011年No.11「ニューマーケット開発計画の再検討に向けた提案を地元市議会が阻止(イギリス)」

[Racing Post 2012年3月24日「VICTORY Delight as Lord Derby’s housing plan is knocked on the head」]


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