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海外競馬ニュース
2011年11月02日  - No.44 - 3

米国男性の経済状況が競馬賭事売上げに影響(アメリカ)[その他]


 2011年8月の米国における競馬賭事の売上げは、前年より競馬開催日が6.6%減少したこともあり、12.3%減少した。

 この売上げ減少には9.1%(男性:9.65%、女性:8.5%)に上る全米の失業率がいくぶん起因している。しかし、賭事売上げは失業率が5.5%であった2004年から下向きの傾向にあるので、現在の失業率が最大の原因となっているわけではない。

 賭事売上げ減少の主な原因は、30年以上にわたる米国成人男性の経済状況の低下であることは十分に立証されている。もちろん米国成人男性は昔からそして現在も賭事業界の収入の大部分を提供している顧客層である。

 2011年7月、パートタイムまたはフルタイムで職に就いている成人男性の割合は63.5%に減少した。これは近年で最も低い割合であった2009年の63.3%をかろうじて上回る数字である。前回景気の谷が生じたのは1948年であった。同様に、現在は25歳から54歳の働き盛りの男性の81.2%しかパートタイムまたはフルタイムの職を得ていないが、1969年にはその割合は95%であった。

 物価調整後の男性の賃金も、長期にわたり減少傾向にある。マサチューセッツ工科大学によれば、30歳から50歳までの男性の平均年収は1969年から27%減少し、2009年には3万3,000ドル(約297万円)となった。

 ゲーミング収入は顧客層が多様であるので、現在の経済不況においてパリミューチュエル賭事に比べるとより少ない打撃しか受けていない。競馬賭事(およびスポーツ賭事とテーブルゲーム)の大多数の賭事客が男性であるのに対し、カジノ賭事の顧客の約54%が女性である。

 さらに、スロットマシンは男性にも女性にも圧倒的な支持を得ている人気の賭事であり、ゲーミングの中でもっとも大きな割合を占めている。

 競馬界の財産が崩壊しつつあるのは、新たな競争に直面していることに加えて、米国の成人男性の経済状況が衰退しているからでもある。このようなある一定の顧客層に集中して頼ることに伴う固有のリスクは、最近ジョッキークラブとマッキンゼー&カンパニー(McKinsey & Company)が行った調査により立証された。この調査は勝馬予想屋のグループを観察し、全体の1.6%の勝馬予想屋が馬券売り上げの50%を作り出していることを確認した。

 古いやり方を劇的に変化させることは不和を生じさせるが、かと言って競馬の現状維持は明らかに受け入れることができない。目的を持って内部崩壊させ、リスクをとって創造することは、競馬産業のような危機に晒された成熟産業が価値のある将来を見つけ出すためには絶対に必要である。

 全体にわたる大幅な控除率の引き下げ、ベッティング・エクスチェンジ、宝くじタイプの賭事そして他の新しいアプローチを試みることは、賭事品目を再活性化し、顧客層拡大を可能にするだろう。

By William Shanklin
(1ドル=約90円)

[The Blood-Horse 2011年9月17日「Economic Decline of American Male Impacts Handle」]


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