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TOPページ > 海外競馬ニュース > 人工馬場かダート馬場かの議論の脇に追いやられている馬の福祉(アメリカ)[その他]
海外競馬ニュース
2010年02月18日  - No.7 - 4

人工馬場かダート馬場かの議論の脇に追いやられている馬の福祉(アメリカ)[その他]


 ドバイがメイダン競馬場への人工馬場タペタの導入を祝う一方で、カリフォルニア州はサンタアニタ競馬場からその人工馬場プロライドがなくなることを祝おうとしている。プロライド馬場は現行の開催が終わる4月に撤去されることが予定されており、ダート馬場に戻されるようだ。ドバイワールドカップはもはやダート馬場で開催されず、BCクラシックは当分の間人工馬場では開催されないだろう。欧州の調教師たちがダート馬場で施行されるBCクラシックに慎重になるのと同様に、アメリカの調教師たちは、タペタ馬場で施行されるドバイワールドカップに慎重になるだろう。

 賭事運営が考えられないドバイにおいて、人工馬場かダート馬場かの議論の焦点は馬の福祉である。ドバイ・レーシングクラブ(Dubai Racing Club)のCEOであるフランク・ガブリエル(Frank Gabriel Jnr.)氏はタペタ馬場を選択したことに関して、「馬の安全は、馬場を決定する上で最優先事項であり、これまでの経験は馬の故障を減少させ馬の競走寿命を延ばす人工の調教馬場と本馬場の方向を指し示しています」と説明した。

 もし馬の安全がサンタアニタ競馬場においても同じように最優先事項であったなら、同競馬場の役員も人工馬場を選んでいただろう。もしサンタアニタ競馬場がダート回帰への圧力に屈したのであれば、馬の福祉よりも別のことを重視したことを意味することになり、すでにもろくなっている米国競馬の名声は予後不良事故の増加だけに留まらず、もっと甚大な痛手を被ることになるだろう。

 予後不良事故の増加は必ず、競馬が十分に馬をケアしていないという攻撃、つまり批評家たちが最大限に利用する格好の材料を与える。予後不良事故が人工馬場でよりもダート馬場でのほうが多いという証拠に直面しているにもかかわらず、競馬場がダートを選択するとき、競馬産業はどれだけ馬のことをおもんばかっていると言えるのだろうか?

 カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)は2006年に州内の主要競馬場に人工馬場を敷設するよう要請した。その要請は、“ダート馬場で馬が驚くべき率で故障しており、人工馬場ポリトラックのかなり高い安全性が判明した”という証拠もあってなされたのである。

 CHRBはケンタッキー州のターフウェイパーク競馬場(ポリトラック)からの証拠に影響を受けたが、それに続くハリウッドパーク競馬場(クッショントラック)、デルマー競馬場(ポリトラック)、ゴールデンゲートフィールズ競馬場(タペタ)、サンタアニタ競馬場(クッショントラック、その後プロライド)の人工馬場敷設は、予後不良事故のよりきっちりした比較ができるデータを提供しており、その証拠は今や説得力のあるものである。

 これらすべての競馬場の予後不良事故件数は目に見えて減少した。ダート馬場から人工馬場への交換後、全体の予後不良事故率は出走頭数1000頭あたり3.09件から45%減少し、出走頭数1000頭あたり1.68件となった。この率は馬場管理水準が改善されることによりさらに減少するように思われる。サンタアニタ競馬場においては、予後不良事故率は出走頭数1000頭あたり2.81件から1.64件に42%減少した。

 ダート馬場に戻すことを望んでいる者たちは、彼らにとって不都合なこれらの証拠から“人工馬場は後肢の故障をより多く発生させる”という彼らの主張に、早く話題を切り替えたいと思っている。この説を支持する証拠もいくらかあるが、それは予後不良事故に関係する証拠よりも弱く、問題とされる後肢の故障は筋骨格故障全体のわずかの割合しか占めていない。デルマー競馬場は最近、ポリトラック馬場が敷設されてから競走後の故障が減少傾向にあることを示す統計を発表した。

 サンタアニタ競馬場の新たなダート馬場は、3年前に撤去されたダート馬場よりも予後不良事故率は少ないものになるだろうが、その予測は科学的知見というより希望的観測に基づいたものである。新たなダート馬場から、すでにプロライド馬場で得られた数字と比較しうる数字が得られることはないだろう。一方、プロライド馬場が仮に新たな人工馬場に交換されればほぼ確実に改善できるだろう。

 馬の福祉が意思決定プロセスを支配するべきであったのに、実際にはそうならなかった。馬の福祉が尊重されるのならば、出走できる状態ではないときに出走させられ、結果的に馬を衰弱させてしまうとされる薬物投与にもさらなる注意が払われるべきである。CHRBの馬医療担当理事であるリック・アーサー(Rick Arthur)博士は、「米国競馬のスピード重視は馬を大きな危険に晒しています。しかし、馬場の問題のほかに検討すべき課題として、薬物、生産および調教実施の問題があります」と語っている。

 現在大多数であるダート馬場へ戻すことを望んでいるカリフォルニアの調教師たちは、スピード重視であった米国競馬の伝統的パターンに戻ることを望んでいる。彼らは憤慨させられた一貫性のない人工馬場の馬場状態を回避したがっており、それらの大問題は管理スタッフが経験を積んだことから緩和されつつある。一方ダート馬場はとりわけ雨天において、特有の問題と弱点がある。それにも関わらず、ほとんどの賭事客も人工馬場での競走で求められる様々な要素を新しく習得したくないために、ダート馬場に戻すことを望んでいる。

 ダート馬場に戻す代わりに、また競馬の名声の浮沈に一か八かの賭けをする代わりに、サンタアニタ競馬場はすでに達成されたことに基づいて事を進めなければならない。おそらくメイダン競馬場のようにタペタ馬場を選ぶべきである。

By David Ashforth

(関連記事)海外競馬ニュース2010年No.5「サンタアニタ競馬場、プロライド馬場を撤去しダート馬場へ回帰か(アメリカ)」、海外競馬情報2009年No.12「ダート馬場と人工馬場、どちらがより安全か(アメリカ)」

[Racing Post 2010年1月23日「Equine welfare is pushed aside in dirt debate」]


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