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海外競馬ニュース
2010年12月22日  - No.51 - 3

ブックメーカー、マーフィー氏の賦課金案を検討する用意(イギリス)[開催・運営]


 ブックメーカーと競馬場が、それぞれのベッティングショップあるいは映像権料において1レースにつき1ポンド(約140円)の賦課金支払いを行うことを通じて競馬に資金提供すべきであるというファーディー・マーフィー(Ferdy Murphy)氏の案は、現行の粗利益に対する課税システムに取って代わるものとして提案される可能性があるが、受入れ可能な具体的解答を見つけるには3年ほどかかるかもしれない、と賭事産業の代表者は語った。

 競馬界と賭事産業の間で2011-12年賦課金計画に関する合意が得られなかった会議をうけて、レーシングポスト紙宛ての投書の中で、一流調教師であるマーフィー氏は、競馬がより多くの資金援助を得て、馬主を競馬界に確実につなぎとめておくために取られるべきと考える措置を詳細に説明した。

 マーフィー氏の案には、1レースにつき1ポンド(約140円)の負担の実施という手法が含まれていた。年間1万500レースがあり、英国には約8,500のベッティングショップがあるので、競馬に9,000万ポンド(約126億円)弱の金額が集まるだろうと同氏は述べた。

 この提案に対して、英国ブックメーカー協会(Association of British Bookmakers)のCEOであるパトリック・ニクソン(Patrick Nixon)氏は、「私たちは、賦課金が他の手法に取って代わられる必要があるという点についてマーフィー氏と同意見です。賭事産業と競馬界は、通告を受けて3年位の時間が与えられた上で、新たな立法や人為的な保護措置に頼らない形で、映像権と平行して運営される商業的解決策を見つけ出す必要があります」と述べた。

 同氏は、「マーフィー氏の考えは、その流れの中で、潜在的な代替案として疑いなく取り上げられ、議論されるでしょう」と付け足した。

 ニクソン氏は、無免許で賭事を運営している者もいるとブックメーカーやBHA(英国競馬統轄機構)から言われている“ベットフェア社の顧客”は、賦課金を支払うべきであり、競馬場は映像権収入に応じてより多くの賞金を支払うべきであり、また競馬界はその諸経費を削減すべきであるという点でもマーフィーと同意見であった。しかし同氏は、馬主がごっそりと競馬から身を引いてしまうかもしれないというマーフィー氏の示唆は大げさすぎると述べた。

 同氏はまた、目抜き通りのベッティングショップにとって競馬が主力商品であるということには一片の根拠もない、と付け加えた。

 同氏は、「ベッティングショップにおける目立った賭事活動が、競馬とドッグレースに限られていた時代は終わりました」と語った。

 一方、馬主協会(Racecourse Owners’ Association:ROA)のCEOであるマイケル・ハリス(Michael Harris)氏は、賦課金には早急な変更が必要という点でマーフィー氏と同意見であったが、賦課金を完全に見限ることを受け入れるという考え方ではなかった。

 同氏は次のように語った。「ブックメーカー以外の誰も、現在の水準では賦課金が競馬の需要にとってまったく不十分であるということを否定する人はいません。しかし賦課金は、引き続き、VAT(付加価値税)支払いを回避できる手段の1つであるという大きな利点を持った確実なシステムなのです」。

 「立法行為を伴わない純粋に商業的なシステムの問題点は、競馬を競争法に対して脆弱なものにしてしまうという点でブックメーカーに交渉上の著しい有利性を与えてしまうことです。賭事産業が賦課金に終止符を打つことを押し進めているのはそのためです」。

 「私は賦課金制度を支持し続けるでしょう。ただし、それは、賦課金支払の不公平な賦課最低限度額をなくし、海外の賭事にも賦課金を新たに課し、海外賭事業者に英国競馬を対象にした賭事への賦課金を支払わせる手段を見つけ出すことにより、賦課金制度が近代化される場合に限ります」。

By Jon Lees
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2010年11月10日「Bookmakers prepared to consider Murphy plan」]


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