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海外競馬ニュース
2010年10月28日  - No.43 - 1

プリークネスボーナスが3冠競走のステップレースを活気づける(アメリカ)[開催・運営]


 MIディベロップメンツ社(MI Developments Inc.: MIDI)は、サンタアニタダービー(G1)とフロリダダービー(G1)の総賞金をそれぞれ100万ドル(約1億円)に引き上げ、一連のステップレースとプリークネスS(G1)を制した馬に550万ドル(約5億5,000万円)のボーナスを提供するだろう。

 “プリークネス5.5”と呼ばれるこのボーナスは、MIDIが所有するガルフストリームパーク、ゴールデンゲートフィールズ、サンタアニタパークの各競馬場で行われる3冠競走のステップレースが対象となる。MIDIは、ペンナショナルゲーミング社(Penn National Gaming Inc.)とともにプリークネスSの開催地であるピムリコ競馬場を共同所有する。

 以下のレースを連続して勝利することにより、馬はボーナスを獲得することができる。

 

(1) ガルフストリームパーク競馬場のホーリーブルS(G3)
またはファウンテンオブユースS(G2)+フロリダダービー+プリークネスS
(2) サンタアニタ競馬場のロバート・B・ルイスS(G2)
またはサンフェリペS(G2)+サンタアニタダービー+プリークネスS
(3) ゴールデンゲートフィールズ競馬場のエルカミノリアルダービー(G3)+サンタアニタダービー+プリークネスS

 MIDIは、その子会社マグナエンターテインメイント社(Magna Entertainment Corp.: MEC)が2010年初めに破産手続きに入ったことから、ガルフストリームパーク、ゴールデンゲートフィールズ、サンタアニタパークの各競馬場およびメリーランドジョッキークラブ(Maryland Jockey Club)の所有権を引き継いだ。フランク・ストロナック(Frank Stronach)氏はMECの創立者で会長であり、MIDIにおいても同じ地位にある。

 ストロナック氏は、「賞金引き上げの目的は、ファンに華々しいイベントを提供することと競馬関係者に人生を変えるような経験を作り出すことです。これらのイベントは、米国におけるサラブレッド競馬の再生への大きな期待を示しています」と語った。

 MIDIのCEOであるデニス・ミルズ(Dennis Mills)氏によれば、このプリークネスボーナスの概念は、オーナーブリーダーのアール・マック(Earle Mack)氏が、ストロナック氏のレーシングマネージャーであるマイク・ロジャーズ(Mike Rogers)氏およびMIDIのCOO(最高執行責任者)であるドン・キャメロン(Don Cameron)氏とともに発展させたものである。

 エクスプレスベット社(Xpress Bet)は、ステップレースの1つに出走してサンタアニタダービーかフロリダダービーのいずれかで3着以内になった馬で、プリークネスSに優勝した馬の関係者に、55万ドル(約5,500万円)の残念賞を提供するだろう。その内訳は、馬主に50万ドル(約5,000万円)、調教師に5万ドル(約500万円)である。

 プリークネスボーナスは、チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)とMIDIの間で、3冠競走に続く主要レースに出走する馬を惹きつける競争が高まっていることを示している。ケンタッキーダービー(G1)を開催するCDIは、近年フェアグラウンズ競馬場で開催されるルイジアナダービー(G2)の総賞金を100万ドル(約1億円)に引き上げた。

 ミルズ氏は、「競馬について考えたときに、一番初めに思い浮かぶのはケンタッキーダービーであり、私たちはケンタッキーダービーを手本にし、高額賞金という私たちの資産を活用する大きなイベントを作り出します。私たちの望みは、このことによってプリークネスS出走馬の質が向上することです。この奨励策は、大変特別なものであると考えます」と述べた。

 CDIとMEDは、2009年秋までトリプルクラウンプロダクションズ社(Triple Crown Productions)の支援の下で一緒に取り組んでいたが、両社はこの春に、共有していたサイマルキャスト映像配信業者であるトラックネットメディア社(TrackNet Media)を解散させた。CDIとMIDIは、ホースレーシングTV社(HorseRcing TV)と提携している。

 ミルズ氏は、「私たちの会社の間では、馬であろうと何であろうと才能のあるものを見出すために常に自然で健全な競争があります。私たちは依然として、建設的な関係を保っています」と付け足した。

 ルイジアナダービー、サンタアニタダービーおよびフロリダダービーは、2011年にその総賞金がそれぞれ100万ドル(約1億円)まで引き上げられた。これらのレースは、今まで3冠競走につながる3歳馬のステップレースの中で最も賞金額が高いとされていたアーカンソーダービー[G1 総賞金100万ドル(約1億円)]の仲間入りを果たす。

 3冠競走のステップレースは、すでに2000年から2009年の間においてその賞金額が32.3%引き上げられたことで、北米の他のレースを寄せ付けないものとなっている。北米全体の賞金額はすっかり乏しくなっており、同時期に13.6%減少している。

 過去12年で10回もフルゲートの20頭を集めてきたケンタッキーダービーの出走馬を決定するにあたり、重賞での収得賞金額はますます重要になっている。

 ボイドゲーミング社(Boyd Gaming Corp.)は8月24日、11月20日に行われる2歳馬競走デルタダウンズジャックポットS(G3)の賞金額を75万ドル(約7,500万円)から100万ドル(約1億円)に引き上げることによって、その地位は上昇するだろうと発表した。

3冠競走ステップレースの高額賞金
2011年ケンタッキーダービー出走を目指す馬へ100万ドル(約1億円)以上の賞金を提供する重賞競走
開催日 レース名 競馬場 総賞金
11月5日 BCジュヴェナイルフィリーズターフ チャーチルダウンズ 100万ドル(約1億円)
11月5日 BCジュヴェナイルフィリーズ チャーチルダウンズ 200万ドル(約2億円)
11月6日 BCジュヴェナイルターフ チャーチルダウンズ 100万ドル(約1億円)
11月6日 BCジュヴェナイル チャーチルダウンズ 200万ドル(約2億円)
11月20日 デルタダウンズジャックポットS デルタダウンズ 100万ドル(約1億円)
3月26日 ルイジアナダービー フェアグラウンズ 100万ドル(約1億円)
4月2日 サンタアニタダービー サンタアニタ 100万ドル(約1億円)
4月3日 フロリダダービー ガルフストリーム 100万ドル(約1億円)
4月16日 アーカンソーダービー オークローン 100万ドル(約1億円)

(1ドル=約100円)

[Thoroughbred Times 2010年9月4日「Preakness bonus livens Triple Crown prep season」


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