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海外競馬ニュース
2010年05月06日  - No.18 - 2

ニューマーケット開発計画の決定、6月まで延期(イギリス)[その他]


ハッチフィールド牧場開発計画、計画審査官の後押しを受ける

 ニューマーケットに1,200棟の新しい住宅を建設するダービー卿(Lord Derby)の計画に反対する活動家たちは3月24日、議論となっているハッチフィールド牧場(Hatchfield Farm)の開発に対する彼らの懸念が政府任命の計画審査官に共有されなかったことで痛手を受けた。

 ニューマーケット地域への住宅建設の必要性をまとめた“地域開発の核となる基本計画”についての計画審査官の報告書はまだ公表されていないが、フォレストヒース市議会(Forest Heath District Council)のスポークスマンは、同市議会が3月23日の夜にコピーを受け取ったことを明らかにし、「ニューマーケットの土地に対する私たちの立場にとって好ましいものです」と述べた。

 「計画審査官は、ニューマーケット地域が開発されるべきであるという方針に反対はしていませんが、計画されている土地の活用法に関する見解は表明していません」。

 このニュースは、ダービー卿の開発計画の運命が決定される市議会の計画委員会の最終会議の前夜にもたらされた。

 この挫折にもかかわらず、ニューマーケット歴史的建造物保護活動団体(Save Historic Newmarket Action Group: SHNAG)の支持者たちは提案がまだ却下される可能性があることを楽観しており、1,500名以上の反対の署名を集めた嘆願書を提出するだろう。

 署名者の中には、セブ・サンダース(Seb Sanders)、ヘイリー・ターナー(Hayley Turner)、ニール・カラン(Neil Callan)およびマイケル・ヒルズ(Michael Hills)騎手、マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)、ジョン・ゴスデン(John Gosden)およびジェレミー・ノセダ(Jeremy Noseda)調教師、ゴドルフィン社のレーシングマネージャーであるサイモン・クリスフォード(Simon Crisford)氏、ニューマーケットで調教事業を行う馬主のロバート・オグデン(Sir Robert Ogden)氏の名がある。

 レイチェル・フッド(Rachel Hood)氏は活動団体を代表して次のように述べた。「タタソールズ社(Tattersalls)、ダーレー社、ゴドルフィン社およびジョッキークラブ・エステーツ社(Jockey Club Estates)を代表して取組みが行われており、そしてその他の競馬および馬産業、SHNAGが一体となってこのダービー卿の計画に反対しているにもかかわらず、計画審査官がニューマーケットの基本計画を適切であるとし、ハッチフィールド牧場の大規模開発を却下しなかったことに失望しています」。

 「計画審査官は、この開発計画が競馬産業に損害を与えるとは考えていないとはっきりと述べましたが、競馬産業はそのようには考えていません」。

 3月25日夜の重要な計画会議において、フッド氏は次のように付言した。「このようなことが起きてしまったのは残念ですが、問題の土地はまだ未開発ですので明日の計画委員会に影響しないと考えています。敷地はまだ建設の指定がされているわけではないので、開発計画は却下されるか延期されると期待しています」。

By Graham Green

[Racing Post 2010年3月25日「Hatchfield receives timely boost」]

 

フォレストヒース市議会、ハッチフィールド牧場開発計画の決定を延期

 ダービー卿は、3月25日夜ミルデンホールのフォレストヒース市議会の事務所で行われた臨時計画会議において、あっと思わせる演説者であった。その会議において市議会メンバーは、議論を呼んでいるダービー卿のハッチフィールド牧場開発に関する最終決定を6月まで延期することに賛成票を投じた。

 臨時計画会議に先立ち、ウィリアム・ハガス(William Haggas)調教師、ジェームズ・ファンショウ(James Fanshawe)調教師やSHNAGのメンバーを含む100人以上の抗議者は、市議会事務所の外で“ダービー卿を倒せ”と繰り返し叫び、プラカードを振りかざして訴えた。

 FHDCのハッチフィールド牧場を含む住宅開発の基本計画の適格性に関して、政府任命の計画審査官が予想よりも早く賛同する報告を発表したことが、この会議全体に暗い影を投げかけた。また、開発申請に伴う交通量に関するデータの多くも不完全であった。

 ダービー卿は事情の説明に6分が与えられ、次のように語った。「この開発は2025年以降に1,200棟の住宅が完成する予定であり、それまでの間に人口も交通量も激的に増えることはないでしょう。まず600棟建設して競馬産業に悪影響が見られた場合、残りの600棟の建設を進めるつもりはありません」。

 同卿は次のように付言した。「たとえこの開発計画のゴーサインが出たとしても、土地全体を商業開発者に売却するつもりはありませんし、私自身が積極的に関与し続けるつもりです。私の競馬界への純粋な献身を考慮に入れてもらわなければなりません」。

 ニューマーケット町議会の計画委員長であるリチャード・フレッチャー(Richard Fletcher)氏は、3分間の演説で次のように述べて、傍聴席から熱烈な喝采を受けた。「提案されている開発にゴーサインが出されるとすれば、この地域にとっては災難、英国にとっては恥となります。ニューマーケットに頼って生計を立てている人々の4分の1は生活が脅かされ、馬主は所有馬を他の地域に移動させるだけでしょう」。

 一般討論の中で、ニューマーケット選出の市会議員ウォーウィック・ハースト(Warwick Hirst)氏は、開発計画の交通量に関する証拠の多くはしっかりした根拠のあるものではないと述べた。

 同氏は、「2007年3月のたった1日の午前と夕刻に行われた交通量調査データにもとづいて、この開発計画が出来上がっているということは信じられません。私たちはこの開発申請を却下するべきです」と語った。

 保守党の市会議員であるビル・ビショップ(Bill Bishop)氏は、「私たちがこの開発申請を拒否すれば、訴訟になるでしょう。この決定を延期すれば、私たちはニューマーケットの人々と話合いを行う機会が持て、交通状況の詳細を知ることができるでしょう」と述べた。

 その約2時間後、議員たちは開発申請を却下するか延期させるかの投票を行った。保守党の市会議員全員が6月上旬まで延期する方に投票し、9対5で延期支持派が勝利した。

 その後、ダービー卿は延期に対して、「これは賢明な結論です。私たちは6月にここに戻ってきます。大きな課題は交通量であり、私もこの件に関するファイルを7つ有しているくらいですから、議員たちがこれを理解するために時間を必要とすることに驚きはありません」と語った。

 同卿は次のように付言した。「私はこの開発が競馬界に何の害も与えないことを改めて表明します。私が所有するスタンレーハウス牧場(Stanley House Stud)は残るでしょうし、私はより多くの繁殖牝馬を同牧場に迎え、より多くの馬を管理するつもりです」。

 SHNAGのレイチェル・フッド氏は、「私たちは市議会がこの計画を延期させることを期待していました。もし彼らがこの開発申請を却下すれば、ダービー卿が訴訟を起こしたでしょうし、そうなれば政府の指名弁護士が取り仕切ることになり、私たちには制御できなくなったでしょう。今回の延期によって市会議員たちは、まず適切な調査を行い、その後にこの計画を却下する機会を得られることになります」と語った。

By David Milnes

(関連記事) 海外競馬ニュース2009年No.36「競馬・生産関係者、ニューマーケットの宅地開発計画に反対 (イギリス)」、
 2010年No.2「ニューマーケットの開発反対グループ、計画の公開審査を歓迎 (イギリス)」

[Racing Post 2010年3月27日「Derby’s surprise show as council defers verdict on Hatchfield」]


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