アジア競馬会議、若年層をターゲット にする計画を議論（国際）［開催・運営］

　今日、大学の競馬同好会、新しいメンバーズクラブ（訳注：学生を含む若年成人を対象とした無料のレーシングクラブ）およびソーシャルネットワーキングのウェブサイトを通じて、英国における次世代の競馬ファンがターゲットとされている。

　BHA（英国競馬統轄機構）のCEOのニック・カワード氏は4月12日、アジア競馬会議（Asian Racing Conference）において、競馬変革プロジェクト（Racing For Change: RFC）の推進団体であるレーシング・エンタープライズ社（Racing Enterprises Ltd.: REL）CEOのロッド・ストリート（Rod Street）氏に代わってRFCの“進行中の取組み”の概要を説明した。

　英国の競馬ファンの間では良く知られているRFCの課題全般について述べたストリート氏のビデオインタービューのあとで、カワード氏は、若い競馬ファンを惹きつける具体策の展開について説明した。

　カワード氏は、大学生を惹きつける動きはパイロット計画に基づき競馬同好会のネットワークを通じる形で進められるだろうと述べた。

　同氏は、「私たちは大学に大使を置き、彼らに競馬観戦ツアーを実行する資金を与えるつもりです」と説明した。

　18歳〜25歳に限定されるメンバーズクラブの提案はまだ固まっていないが、ソーシャルネットワーキングのウェブサイトを立ち上げるための入札プロセスはまもなく開始される。

　カワード氏は、「私たちは新しいウェブサイトに焦点を合わせる予定であり、これによって若い競馬ファンが競馬場で楽しい体験ができることになるでしょう」と述べた。

　「私たちは、若者たちの心を競馬に向けること、そしてそのためにはファン、有名人、ヒーローの参画および競馬の質が最も重要であるということに焦点を当てなければなりません」。

　競馬界の外部の若い企業家を代表して意見を述べた発言者たちは、次世代の競馬ファンを惹きつけるためには新しいタイプのメディアを活用することが重要であることを強調した。

　いくつかの大企業のために若年成人マーケットを調査しているメルボルンのライフラウンジ社（Lifelounge）CEOのディオン・アッペル（Dion Appel）氏は、テクノロジーを取り入れ活用することにより、競馬が若者のライフスタイルの選択肢となるようにしなければならないと述べた。

　同氏はまた、若年成人マーケットの2本柱であるファッションと音楽を競馬に取り込む一方、その家族を惹きつけるとともに最近高く評価されている仲間同士のネットワークを通じた繋がりを生かしていくことが重要であると述べた。

　2009年の“米国人気演説家25人”に選ばれたコロラド州に住むオーストラリア人の事業戦略家ピーター・シーハン（Peter Sheahan）氏は、競馬場から一歩距離を置くことによって競馬を“娯楽”として人々を惹きつけるようにしなければならないと述べた。

　同氏は1つの提案として、米国でNFLが、豪州でAFLが実施して大きな影響を与えたように、一種の競馬ファンタジーリーグを展開するためにゲームを利用することを挙げた。

　もう1つの提案は“競馬を家族が団欒する居間にもたらすために”ウィー（Wii）を活用することである。

　世界中の競馬統轄団体が新規顧客を惹きつける新しい手段を捻り出す必要性は、アジア競馬連盟（Asian Racing Federation）の会長でありJRAの総括監である佐藤浩二氏によって強調された。

　同氏は、「競馬には300年の歴史がありますが、現在私たちは停滞期を迎えています」と述べた。

　同氏は次のように続けた。「同じ賭事市場の中でも、カジノ賭事は、四六時中で楽しめ自己完結型であり新しいアイデアをすぐに導入できることからシェアを拡大しています」。

　「サラブレッド競馬を適切に機能させるのであれば、将来の成長を確かなものにするために、競馬界はカジノのように一体となって取り組む必要があります」。

　佐藤氏はまた、「若い世代はスポーツ観戦においてインターネットとテレビを融合させています」と述べテクノロジーの進展に言及した。

　同氏は、「私たちは、新しいテクノロジーをいかに効果的に活用するかに前向きにならなければなりません」と付言した。

By Howard Wright

（関連記事）海外競馬情報2010年No.5「学生を優先的な勧誘対象とする（イギリス）」

［Racing Post 2010年4月12日「Coward tells conference of plan to target youth」］