TOPページ > 海外競馬ニュース > ターフTV社の会長、3月に交代(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2010年03月11日  - No.10 - 3

ターフTV社の会長、3月に交代(イギリス)[その他]


 ベッティングショップに向けた映像提供会社ターフTV社(Turf TV)の会長を2007年発足時より務めているアラン・モルクーム(Alan Morcombe)氏は、2月末にその職を離れる予定である。

 その後継の会長職には、3月1日付けでレーシングUK社(Racing UK: RUK)会長のウィル・ワイアット(Will Wyatt)氏が非常勤の資格で就任する。またモルクーム氏の取締役としての地位は、ターフTV社を共同経営するアルファメリック社(Alphameric)のCOO(最高執行責任者)であるマイク・マクラーレン(Mike McLaren)氏に引き継がれる。モルクーム氏は、アルファメリック社のCEOの職からも去る。

 アルファメリック社の2009年の決算報告書の詳細を述べた2月9日の株式取引の発表において明らかになったモルクーム氏離職のニュースは、アルファメリック社からの配置換えに伴いターフTV社の技術導入の先駆者となったフィル・シアーズ(Phil Siers)販売担当理事が離職し、SIS社(Satellite Information Services: 衛星情報サービス)の上級役員職に移ってから1ヵ月も経たないうちにもたらされた。

 以前BBC(英国放送協会)のトップを務めていたワイアット氏は非常勤役員として活動し、日常的な運営は、2009年10月に雇用される以前はアーセナルFC(Arsenal FC)で商業担当理事として勤務していた経営担当理事のエイドリアン・フォード(Adrian Ford)氏と、2009年3月にターフTV社に赴任した財務担当理事のスチュアート・バーカー(Stuart Barker)氏に委ねられる。

 アルファメリック社において2つの職務に従事し1995年にCEOに任命されたモルクーム氏は、3ヵ月の休暇を取ったあとで“技術事業の分野で新たな挑戦を模索するつもりだ”と語った。

 同氏は次のように付言した。「ターフTV社は発足時から素晴らしい成功を収めてきました。時々困難な時期があり、裁判[バッグス社(Bags: Bookmakers' Afternoon Greyhound Services)の件]のために多くの費用が費やされましたが、私たちは立場を守らなければなりませんでした。そして結果的には、我々の将来はバラ色になると思われます」。


ターフTV社にまつわる事柄

 ►► ターフTV社はベッティングショップ向け競馬映像配信会社であり、アムラック社を親会社とし、競馬場メディアグループ(Racecourse Media Group: RMG)とアルファメリック社の50対50の共同事業体である。RMGはレーシングUK社(RUK)と提携する30競馬場の統轄団体である。

 ►► アルファメリック社の2009年決算報告書によれば、ターフTV社の収入は前年比27%増の5220万ポンド(約88億7400万円)となり、管理費を引いた利益は前年比109%増の1420万ポンド(約24億1400万円)であった。

 ►► アルファメリック社の利益は同社で保持され、RMGの利益はRUKと提携している30競馬場に配当される。

 ►► 2009年、バッグス社との長期にわたる法廷での争いが和解に至る。

 ►► 2007年に開始された競馬映像配信サービスには1万軒以上のベッティングショップが契約している。

 ►► RUKと提携する29競馬場とアスコット競馬場の競馬映像権の拡大を2018年まで確保している。


ターフTV社はアルファメリック社の利益の生命線

 2月9日に発表されたグラフを使って示された財務利益において、ベッティングショップ向けにサービスを提供している株式上場企業アルファメリック社が、その事業を維持するためにどれだけターフTV社に依存しているかが明らかにされている。

 11月30日締めの年末決算によると、アルファメリック社とRUKの提携競馬場との50対50の共同事業体であるターフTV社は、親会社であるアムラック社の収入の65%を創出しており、その営業利益の99%を創出している。

 2007年5月に誕生したターフTV社は2009年、多くのベッティングショップと契約を結んだことにより、アルファメリック社に2008年の2060万ポンド(約35億200万円)を大幅に上回る2610万ポンド(約44億3700万円)の収入をもたらした。

 ターフTV社の2分の1の株式保有からの税引前利益は、前年の340万ポンド(約5億7800万円)から710万ポンド(約12億700万円)に跳ね上がった。親会社のアムラック社は、2009年1月にアルファメリック社からの300万ポンド(約5億1000万円)のローンを返済した。

 一方、ベッティングショップに電子決済POSシステムを提供するアルファメリック・ソリューションズ社(Alphameric Solutions)はその間、60万ポンド(約1億200万円)の営業利益をあげた。これは、2008年に収入が140万ポンド(約2億3800万円)下落して1390万ポンド(約23億6300万円)となり、50万ポンド(約8500万円)の損失となった前年と比較される。

 アルファメリック社は2005年以来初めて株主に配当を支給する。株主は1株あたり総額170ポンド(約2万8900円)を受け取るだろう。

 アルファメリック社のピーター・バートラム(Peter Bertram)会長は、「ターフTV社は年間を通して良い実績をあげ、共同株主に配当の支給を開始しました」と語った。

 年末の純資産は2080万ポンド(約35億3600万円)の現金を含む3030万ポンド(約51億5100万円)であった。

By Howard Wright
(1ポンド=約170円)

[Racing Post 2010年2月10日「Morcombe quits Turf TV after three years as executive chairman」、「Shop TV channel key to Alphameric profits」]


上に戻る