EnglishKorean
中文Francais
Japanese Stud Book


世界の競馬
海外競馬ニュース(毎週更新)
海外競馬情報
海外競馬場・日程
海外競走登録・遠征情報
世界の競馬および生産統計 アジア競馬会議・競馬連盟
軽種馬登録情報
軽種馬登録ニュース
統計データベース
軽種馬の登録の仕組み
登録のあゆみ
ユビキタス関連
マイクロチップについて
申請書類ダウンロード

モバイルサイト
TOPページ > 海外競馬ニュース > 不況の試練に晒される競馬界(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2009年07月09日  - No.27 - 3

不況の試練に晒される競馬界(イギリス)[その他]


 英国競馬界の現状はどうか?何を目標とすべきか?どうすれば達成できるか?これらは英国競馬界に対するスポーツおよび産業としての根本的な質問である。深刻な経済不況の到来により、これらの質問はさらに切実なものとなり、誤った答えはより大きな犠牲を招くことになる。

 近年の統計値を見る限り、英国競馬界の状態は多くの人が想像しているよりも良好である。しかし、今後とも良好であり続けるには、大改革が必要である。競馬の将来を考える場合、長期の持続的な成長期に将来の発展のためにどのような措置が取られたか見なければならない。

 1997年から2007年の間、競走馬の馬主は8309人から9550人に増加し(15%増)、現役馬は1万2281頭から1万4876頭に増加した (21%増)。調教師免許を有する調教師の数は556人から596人へと7%しか増加していないので、大半の調教師は管理馬の頭数が増えたことになる。

 また、競馬場入場者数も、賞金額も増えた。1997年から2007年の間、年間競馬場入場者数は、500万8310人から581万5311人に増加した (16%増)。これは競馬場が多額の資本を投下して施設を改善した成果である。しかも、競走日数が1153日から1330日に増加した(15%増)のに、 1日平均入場者数も4344人から4372人へと僅かながら増加した(1%増)。

 賞金額は、1997年の6020万ポンド(約102億3400万円)から2007年には9870万ポンド(約167億7900万円)と、大幅に増加した (64%増)。それでも、賞金不足に関する不満は根強かった。大幅増加の最大の要因は、競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)からの賞金補助金であり、その額は10年間に2900万ポンド(約49億3000万円)から5340万ポンド(約90億7800万円)に激増し た(84%増)。競走数は7460レースから8877レースに増加し(19%増)、1レースあたりの平均賞金額は8070ポンド(約137万1900円) から1万1117ポンド(約188万9890円)に増加した(38%増)。

 英国競馬界は成長し繁栄したが、間違いなくもっと成長できたはずである。1997年から2007年の間、英国経済は33%の成長を遂げた。賦課金収入と 賞金の増加は顕著な例外であったが、競馬は全体として、英国の経済成長に見合っていない。競馬は成長産業ではあったが、実力を十分発揮していない産業であ る。

 しかし2008年のデータには、持続的成長の可能性も若干あったものの、不振と下落の兆候が見られ始めた。賦課公社の賞金補助金は5340万ポンド(約 90億7800万円)から5610万ポンド(約95億3700万円)へさらに増加し(5.1%増)、これに支えられ、賞金額は9870万ポンド(約167 億7900万円)から1億630万ポンド(約180億7100万円)に増加した(7.7%増)。2008年のセリは大不振であった。

 2008年の現役馬の頭数は2007年の1万4876頭から1万5154頭へと僅かながら増加が見られた(1.9%増)。一方、厩舎スタッフの数は常勤と非常勤のいずれも減少し、2007年の20万7524人から全体で7160人減少した(約4.8%減)。

 2008年の競走日数は1330日から1424日(7.1%増)に、競走数は8877レースから9494レース(7%増)に増加したが、年間競馬場入場 者数は1.7%減少し571万6656人となり、1日平均入場者数は8.2%減少し4015人となった。それでも2009年第1四半期に、1日平均入場者 数は5.4%増加している。

 英国競馬界は十数年間にわたる成長にもかかわらず、依然として重大な問題に直面している。その中には、慢性的な問題もあるし、不況により深刻化した問題 もある。しかし、英国競馬界は確固とした姿勢でこれらの諸問題に立ち向かっている。もし読者が英国競馬界は困難な状況にあると考えているなら、米国競馬界 に思いを巡らせてもらいたい。米国競馬は、人気が衰え、メディアからの注目が減り、パリミューチュエル賭事独占にもかかわらず厳しい状況に陥っている。

 5月初め毎年恒例のカーニバルであるケンタッキーダービー(G1)の日には、15万3000人以上の人々がチャーチルダウンズ競馬場に集まった。しか し、競馬人気に暗い影を投げかけたのは、2008年ケンタッキーダービーでのエイトベルズ(Eight Belles)の予後不良事故、そしてケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)の勝馬ビッグブラウン(Big Brown)がアナボリック・ステロイドを投与され調教された事実であった。

 2009年プリークネスS開催日のピムリコ競馬場の入場者数は、2008年よりも30%以上減少した。これは1983年以来最も少ない数字であった。同 競馬場の所有者マグナエンターテイメント社(Magna Entertainment Corp.: MEC 米国最大の競馬場運営業者で、サンタアニタ競馬場やガルフストリーム競馬場も所有)は2ヵ月前に連邦破産法第11章に基づく破産保護(民事再生) 手続きを申し立てた。その破綻の規模は、英国のグレートリーズ競馬場の場合より遥かに大きい。MECの2002年以降の損失額は6億2800万ドル(約 628億円)に達し、ほぼ同額の負債を抱えている。同社は現在の不況のずっと前に困難な状況に陥っていた。

 米国におけるパリミューチュエル賭事の売上げは、前年比で7%以上減少し、今年はもっと大幅に減少するだろう。ダート馬場から人工馬場への切り替えは、 予後不良事故や故障を減少させるだろうが、競走馬の平均出走回数の減少傾向(1998年は7.3回、2008年は6.2回)を反転させるには至っていな い。

 ポリトラック馬場での競走の先駆けであるターフウェイパーク競馬場は3月、出走馬不足のために月曜日を3回連続キャンセルした。チャーチルダウンズ競馬 場もまた出走頭数の減少に直面し、近頃水曜開催を中止し、週5日開催を週4日開催に改めた。カリフォルニア州のハリウッドパーク競馬場も同様の事態に陥っ た。

 チャーチルダウンズ競馬場の春開催の売上げは、オークス(G1)とダービー(G1)を除くと、20%減少しており。そのために6月13日のスティーブ ン・フォスターH(G1)の賞金総額は、2008年の75万ドル(約7500万円)から2009年は60万ドル(約6000万ドル)にまで下げられた。

 英国競馬には明るい面がまだ十分残っている。しかし、すでに景気後退によって、セリ、競馬場の入場者に対する接客サービス業とレースのスポンサーシップは明らかに打撃を受けている。

 企業利益が減少し可処分所得も減少しているので、競馬に関連するすべての経済活動分野は賭事も含め影響を受けることになる。もし今後1年間に、現役馬数、調教師数、競馬場入場者数、賦課金収入額、および賞金額のいずれの減少も見ないで済めば、それは驚くべきことだろう。

 不況が突きつける試練は、競馬界が長年取組んできた諸問題、具体的には組織機構、競馬への資金還元、最適な開催日程、トート社(Tote)のあり方、 レース映像権およびテレビ放映などの問題に及ぶ。また、若いファンに対する競馬の魅力のアピールについての懸念も問題の一つだ。

 英国競馬界は、自らの目標とそれを達成する方法について、明確なビジョンを描く必要がある。

By David Ashforth
(1ポンド=約170円、1ドル=約100円)

[Racing Post 2009年5月27日「STATE OF THE NATION David Ashforth’s view of Britain…from America」]


上に戻る