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2009年03月19日  - No.11 - 2

ブックメーカー、賦課金交渉で先手 (イギリス)[開催・運営]


 賦課金交渉の最終期限の8ヵ月も前に、ブックメーカー側の案が競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)に提出された。その案には英国競馬に係る賭事の粗利益の10%という現行の賦課率を3年間据え置くことが盛り込まれている模様だ。

 ブックメーカー委員会(Bookmakers’ Committee)は、2008年の賦課計画の交渉過程において生じた意見の対立を調整し、満場一致でこの合意案を提出した。これによってブックメー カー委員会側は、年次賦課計画の交渉スケジュールよりも十分な余裕を持って先手を打ったことになる。

 近年の賦課金交渉は、締切りまぎわの夜の妥結が常態化している。締切の10月31日の真夜中まで合意に達しないことが、多くの関係団体だけでなく最悪の 場合には賦課金計画に介入し、決定する政府をも苛立たせている。2007年には文化・メディア・スポーツ省(Department of Culture, Media and Sport)の首脳部が介入し賦課計画を決定した。

 2008年、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)が土壇場で重要な変更、すなわち2009年の開催日程において開催なしになっていた4日曜日を復活させるなど、ブックメーカーに有利な措置を認め たことで、ブックメーカーは2007年のような事態を繰り返さずに済んだ。

 ゲリー・サトクリフ(Gerry Sutcliffe)スポーツ大臣は2008年10月に、2009年に瀬戸際交渉を繰り返すことのないよう望んでいると明言し、これを受けてブックメーカーたちは従来よりも対応を早めたようだ。

 2008年秋の合意事項の中で、賦課公社は中立委員および最高経営責任者ダグラス・アースキンクラム(Douglas Erskine-Crum)氏が、政府の介入決定を回避するための交渉手続きの合理化について検討し、4月末までに政府に報告するとの約束をしていた。

 その検討の中で、8月からの交渉の開始手続きとして、賦課金交渉の序盤で、まずブックメーカー案の提出があり、そのあと競馬界から出された資金要求の検討に移るというプロセスがすでに提案されていた。

 しかしブックメーカー側は、賦課公社の他のメンバーの大半にとっては先制攻撃と思えるようなやり方で、自分たちの提案を突きつけた。

 2月13日、ブックメーカー委員会のクリス・ベル(Chris Bell)委員長に対して提案についての説明を求めたが、「ブックメーカー委員会から賦課公社に提案しました。それは満場一致で決まりました」と述べるにとどまった。

 2009-10年賦課計画以後3年にわたる賦課計画の内容が本紙の見込みどおりであれば、少なくともブックメーカーの競馬賭事の粗利益からの直接的な資金拠出が保障されたことになる。しかし、正確な賦課金額のレベルは競馬賭事の業績次第である。

 ブックメーカーとトート社(Tote)からの賦課金額は、2007-08年は過去最高の1億1650万ポンド(約198億500万円)であった。2008-09年は1億ポンド(約170億円)には届かないと見込まれている。

 賦課公社のBHA側代表は、制度変更を要求している。それには英国競馬以外の賭事商品の売上げからの支払いが盛り込まれており、ブックメーカーからの資金拠出額は1億3500万ポンド(約229億5000万円)に増加することを見込んでいる。

By Howard Wright
(1ポンド=約170円)

(関連記事)海外競馬ニュース2008年No.46「2009-2010年度の賦課計画交渉が妥結」

[Racing Post 2009年2月14日「Bookmakers steal march by putting early levy proposal on table」]


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