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2009年03月12日  - No.10 - 3

三冠競走への特別登録11%減 (アメリカ)[開催・運営]


 2007年の三冠競走への特別登録数は史上最多の450頭であった。2008年はほぼ同数の449頭であったが、2009年には11%減の401頭に落ち込んだ。そして、エクリプス賞を受賞した2頭の優良2歳馬が米国にいないのは、三冠競走史上初めてのことである。

 BCジュヴェナイル(G1)とデルマー・フューチュリティー(G1)を制したミッドシップマン(Midshipman)およびホープフルS(G1)とチャンピオンS(G1)を制したビニヤードへヴン(Vineyard Haven)はいずれもゴドルフィン社(Godolphin)が所有し、ドバイで調教している。モハメド殿下(Sheikh Mohammed Al Maktoum)率いるゴドルフィン社は、ロバート&ジャニス・マクナイア夫妻(Robert and Janice McNair)のストーナーサイド牧場(Stonerside Farm)を買収し、その入厩馬ミッドシップマンの所有権を引き継いだ。同社はビニヤードへヴンも馬主で調教師であるボビー・フランケル(Bobby Frankel)氏とそのパートナーたちから購入した。報道によれば、その購入額は1200万ドル(約12億円)であった。

 三冠競走は、5月2日にチャーチルダウンズ競馬場で施行される135回ケンタッキーダービー(約2000 m)、5月16日にボルチモアのピムリコ競馬場で施行される134回プリークネスS(約1900 m)、そして6月6日にニューヨークのベルモントパーク競馬場で施行される141回ベルモントS(約2400 m)である。

 トリプルクラウン・プロダクション社(Triple Crown Productions)のエドワード・セイゲンフェルド(Edward Seigenfeld)副社長は特別登録数の減少を認めたが、2008年エクスペリメンタル・ハンデキャップで最重量の8頭の現役2歳馬が登録されており、2歳牝馬チャンピオンのスターダムバウンド(Stardom Bound)も登録されていると指摘した。

 最後に三冠競走全てを制した馬は、1978年のアファームド(Affirmed)である。それから11頭がダービーとプリークネスSを制したものの、“チャンピオン馬への最終関門”として知られるベルモントSで敗れている。2008年のベルモントSで失速したビッグブラウン(Big Brown)が最新の例である。

 特別登録料は600ドル(約6万円)である。3月28日が締切の追加登録については6000ドル(約60万円)の料金が必要となる。加えて、それ以降はケンタッキーダービーには20万ドル(約2000万円)、プリークネスSおよびベルモントSには10万ドル(約1000万円)を競走前に支払うことでしか、直前登録をすることはできない。

 調教師の勢力図に変化が生じている。特別登録数が6年連続で最多であったトッド・プレッチャー(Todd Pletcher)調教師は、その座をスティーブ・アスムッセン(Steve Asmussen)調教師に明け渡した。アスムッセン調教師は2008年に2度目の年度代表馬となったカーリン(Curlin)を管理し622勝を挙げ、エクリプス賞を受賞している。

 特別登録数はアスムッセン調教師が25頭、それに続きプレッチャー調教師が20頭、ニック・ジトー(Nick Zito)調教師が19頭である。さらにダービーを3回制しているボブ・バファート(Bob Baffert)調教師の12頭、リチャード・ヴァイオレット(Richard Violette Jr.)調教師の11頭、ボビー・フランケル調教師の10頭が続く。

 ヨーロッパ勢では、エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師が6頭、BCジュヴェナイルターフをドナティヴァム(Donativum)で制しBCクラシック(G1)をレイヴンズパス(Raven’s Pass)で制したジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師がそれに次ぐ4頭を特別登録している。全部で23頭の米国外で生産された馬が特別登録されている。内訳は、アイルランド産が8頭、英国産とカナダ産がそれぞれ7頭そして日本産が1頭である。

 ザヤット・ステーブル(Zayat Stables)の成長も特別登録数に反映されている。同ステーブルは3年連続で馬主ランキングの先頭に立っており、2008年に11頭であった特別登録数は2009年には22頭となった。2位はアート&ステファニー・プレストン夫妻(Art and Stephanie Preston)のオックスボーレーシング社(Oxbow Racing)の10頭で、それに続いてアール・マック(Earl Mack)氏の9頭とスーザン・マグナイア(Susan Magnier)氏&マイケル・テイバー(Michael Tabor)氏共有の9頭(そのうち8頭はデリック・スミス(Derrick Smith)氏と共有)が並んでいる。ロバート・ラペンタ(Robert LaPenta)氏は2008年は6頭であったが、2009年は8頭特別登録している。

 種牡馬ではエーピーインディー(A.P. Indy)とアンブライドルズソング(Unbridled's Song)がトップを占めており、それぞれの産駒が14頭ずつ特別登録されている。それに次いでメダグリアドーロ(Medaglia d'Oro)は13頭、グランドスラム(Grand Slam)は9頭、ディストーテッドヒューモア(Distorted Humor)、ライオンハート(Lion Heart)、シーキングザゴールド(Seeking the Gold)はそれぞれ8頭の産駒が特別登録されている。

 スターダムバウンドを筆頭に4頭の牝馬が特別登録されている。スターダムバウンド以外に特別登録されたのは、同馬と同厩舎のララァ(Larah)、スカイディーバ(Sky Diva)およびアバウンド(Abound)である。

三冠競走登録数の推移
特別登録 追加登録
2004 434頭 14頭
2005 358頭 13頭
2006 426頭 14頭
2007 450頭 10頭
2008 449頭 10頭
2009 401頭 3月28日締切

By Steve Haskin
(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2009年2月14日「Early Triple Crown Nominations Down 11% From Last Year」]


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