TOPページ > 海外競馬ニュース > 映像配信料率の引上げは競馬産業の収入を増加させる(アメリカ)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2008年02月21日  - No.7 - 2

映像配信料率の引上げは競馬産業の収入を増加させる(アメリカ)[開催・運営]


 現在、場外発売が売上げの85〜90%を占めていることから、競馬産業は映像配信料率を改正しようとしている。いくつかの競馬場と競馬関係者のグループには新方式の構想があって、少なくとも各競馬場あるいは各州で、それを実施していこうと目論んでいる。

 トラックネットメディア社(Track Net Media Group: TNMG)はチャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.)とマグナエンターテインメント社(Magna Entertainment Corp.)が設立した映像を売買する事業体である。TNMGの最高経営責任者スコット・ダルティ(Scott Daruty)氏は、競馬場間でサイマルキャストを利用した馬券売上げが依然として北米の馬券売上げの大半を占めていると語った。同氏は、少なくともサラブレッド競馬場間のサイマルキャスト料に関しては、映像配信料率はおそらくこれまでとあまり変わらないだろうと述べた。

 1月5日、アリゾナ州スコッツデールで行われたゲーミング州選出国会議員全国協議会(National Council of Legislators from Gaming States)の冬季会議で、この問題が討議され、ダルティ氏もそれに参加した。

 控除率が20パーセントの場合には、開催競馬場は映像配信料率として売上げの3%を得、映像を受信する競馬場は17%を得る。レベルの違う2つの競馬場の間で、相互にサイマルキャスト発売をしている場合には、双方に同じ率が適用されことになるので、よりレベルの高い競馬を施行し売上げも多い競馬場には不利な取引になる。つまり、売上げの少ない競馬場は、売上げの多い競馬場より少ない金額の映像受信料しか払わなくて良いことになる。

 ダルティ氏は、「より優良な競馬場にとって、その配分率は妥当でないかもしれないが、いわば持ちつ持たれつの間柄です」と語った。

 ダルティ氏は、焦点は“場外サイマルキャスト馬券発売店”、いわゆるベッティングショップに絞られるだろうと述べ、TNMGは映像配信料率を段階的に改定するために1,000店以上のベッティングショップを5〜6種類に区分したと語った。それは電話投票、カジノの馬券販売、競馬場以外の事業体が運営するベッティングショップだけにとどまらない。繋駕速歩競走やクォーターホース競走、ドッグレースのようなサラブレッド競走以外のレースの賭店からも現在より高い映像配信料を徴収しようという狙いがある。

 ダルティ氏は、「われわれはベッティングショップへの映像配信料率を引き上げる必要があると信じている」と述べ、ベッティングショップは最終的にサラブレッド競馬の映像に対して5〜8%の受信料を支払うことになるだろうと見通しを述べた。

 しかしダルティ氏は、もし映像配信料を売上げ総額に連動すると、各州の様々な種類の馬券に対する控除率が異なっているので、適切ではないと述べた。例えば現在競馬場は、単勝式の控除率が17%で、3連勝式の控除率が30%であっても均一の映像配信料の支払いを請求される。新方式では映像配信料は控除率に基づくものとなるだろう。

 ダルティ氏は、「控除率に応じて映像配信料率が変動するように、控除率を基本にした方式をつくるべきである」と語った。

 全米馬主調教師共済協会(National Horsemen’s Benevolent and Protective Association: NHBPA)事務局長兼出納役のニック・クーコス(Nick Coukos)氏は、サイマルキャスト発売の80億ドル(約9,600億円)から得る収入はかなりの額なので、「私たちはそれで何とかやっています」と語った。

 また同氏は、「しかし、サラブレッド競走を付随的な対象とするベッティングショップ(Non-Thoroughbred betting agencies: NTBA)では、現在サラブレッド競走の馬券売上げ50億ドル(約6,000億円)の3.5%にあたる約1億7,500万ドル(約210億円)がサラブレッド競走に支払われていますが、将来は映像配信料率の引上げにより、8億7,700万ドル(約1,052億4,000万円)となる可能性があります」と述べた。

 クーコス氏は、「サラブレッド競馬場はベッティングショップへの映像配信料率を変更する必要があります。そして控除総額の3分の1以上を賞金に充当すべきです」と語った。

 電話投票を提供するユーベットコム社(Youbet.com)の最高経営責任者、ゲリー・スプロール(Gary Sproule)氏は、開催場が3分の1、競馬関係者が3分の1、電話投票会社が3分の1の取り分とする収入方式を提案していると語った。

By Tom LaMarra
(1ドル=約120円)

[The Blood-Horse 2008年1月19日「New Pricing Models May Boost Revenue」]


上に戻る