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2008年09月25日  - No.38 - 1

NYRAの破産状態が終息(アメリカ)[開催・運営]


 サラトガ、ベルモントパークそしてアケダクト競馬場における競馬を1955年から運営しているニューヨーク競馬協会(New York Racing Association: NYRA)は、9月12日に破産状態を脱する見込みであり、これはNYRAの再出発を意味するものである。

 ニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board)は9月12日、ニューヨーク州スケネクタディの同協会本部で行われる会合で、NYRAの新たな基本定款を承認する予定である。

 NYRAは2006年11月2日に、連邦破産裁判所に連邦破産法第11章に基づく破産保護(民事再生手続)を申し立てた。これは、NYRAが競馬場運営権を維持するうえで重大な手続きであった。当時、NYRAのほかに3団体が次期の競馬運営権の獲得を目指しており、NYRAはせいぜい穴馬だと思われていた。

 とりわけNYRAが破産したことから、連邦破産裁判所がNYRA再建計画の承認の可否を決定するための前提として、誰がニューヨークの競馬場を所有するかという問題について裁判所が判決する必要が生じた。ニューヨーク州政府は競馬場の所有権が州に属していることを主張し、NYRAは50年以上固定資産税を払い続けたのだからNYRAが競馬場を所有していると主張していた。

 エリオット・スピッツァー(Eliot Spitzer)前州知事は、州の所有権を否定する判決が下されることを恐れ、2007年9月、NYRAとの間に今後30年間運営権を維持するという拘束力のない覚書を締結した。

 数ヵ月にわたる交渉の結果、州議会は2008年2月13日、NYRAに新たな25年間の運営権を与えた。しかし、民事再生手続き上の細部や運営権に関する契約条項を詰めるのにさらに数ヵ月を要した。

 NYRAの前期の運営権契約は2007年12月31日に期限切れとなり、その後、一連の運営権の暫定延長により運営を続けていた。7回目の暫定延長は、2008年9月28日に期限切れとなる予定である。それまでには、新しい運営権契約が締結されるだろう。

 州職員は2週間前に、NYRAは9月15日までには破産状態を切り抜ける見込みであると語っていた。

 NYRAのチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)会長は最近、「私たちは破産状態を切り抜けなければなりません。借入金の利子負担と民事再生手続きのための費用が1日8万ドル(約880万円)掛かります。また、9月に返済しなければならない借入金もあります」と述べた。

 NYRAのスポークスマンであるジョン・リー(John Lee)氏は、NYRAの民事再生手続きは9月12日に決着するかどうかという質問に、肯定的な返答をした。

 25年の競馬運営権がNYRAに与えられる一方で、競馬場の所有権は州に引き継がれる。そうすることにより、今後はNYRAではなく州が、ベルモント、アケダクト、サラトガの3競馬場の総額数百万ドルに及ぶ固定資産税の納付義務を負うだろう。そして、それらの競馬場は年間1ドルでNYRAに賃貸される。

 そのほか州は、1億3000万ドル(約143億円)以上の貸付金と利子の支払いを免除する。

By Paul Post
(1ドル=約110円)

[thoroughbredtimes.com 2008年9月11日「NYRA bankruptcy close to resolution」]


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