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海外競馬ニュース
2008年08月14日  - No.32 - 3

前スポーツ大臣、トート社の新たな売却計画を提案(イギリス)[開催・運営]


 前スポーツ大臣のリチャード・カボーン(Richard Caborn)氏は7月15日朝、議会の閉会中審議において、トート社(Tote)売却に関する新たな計画を提案する予定である。同氏はその計画が、すべての利害関係者に利益を与え、競馬界にプール賭事事業を保証し、また賦課金制度への実行可能な代案の骨組みを提供するものと確信している。

 同氏は、(1) トート社の馬券発売所540店舗は公開市場において一括あるいは分割で売却する。(2) 同社のその他の事業(電話・インターネット投票事業が中心となる)は新組織ニュートートトラスト(New Tote Trust)により運営することを提案する。

 カボーン氏の提案は、大半の競馬界の利害関係者および少なくとも主要ブックメーカー1社と討議してきたものであり、馬券発売所の売却益を国庫と競馬界の間で50%ずつ折半することを可能にする。

 同氏は、7月15日に議会で提起する自身の主張に関連して、「ニュートートトラストは、競馬界と各競馬場での営業を継続するための契約を結ぶでしょう。そうすれば、トート社の賭事運営全体をあるブックメーカーに一括売却した場合に生じる問題を避けることができます」と述べた。

 カボーン氏は、次のように付言した。「トート社の利益はこれからも競馬界に還元されます。私が貿易産業省と交渉した結果、トート社は今後7年間従前どおりイギリス国内でプール賭事事業を運営する独占営業許可を保有します。ただし、欧州委員会(European Commission)から欧州連合競争法違反[国家補助(state aid)に該当]との指摘を受けないようにしなければなりません。しかし、7年後にこの営業免許は公売にかけられることになります」。

 同氏はまた、ニュートートトラストにトート社の電話・インターネット賭事事業を移転することが、活気のある将来をもたらす上で重要な役割を担うことに繋がることを、賭事産業に具体的に説明するつもりである。

 同氏は、「私は、トート社の事業から馬券発売所を分離することによって、トート社の国内事業が強固になり、国際事業も拡大し続けると主張するつもりです」と説明した。

 同氏は次のように語った。「ニュートートトラストの経営陣には、困難な状況において素晴らしい業績を残した現在のトート社経営陣のほかに、少なくともブックメーカーの代表者を含むことになります」。

 「現在のところ、トート社の売上げの40%は場外の馬券発売所から得ており、場外馬券発売を成長させ続けることは重要ですし、ブックメーカーたちの利益となるでしょう」。

 カボーン氏はニュートートトラストに関する提案において、7月15日の議会審議でさらなる切り札をひそかに用意しており、この切り札は競馬界への交付金に関する責任を引き継ぐ可能性があるようだ。

 一方で、同氏はトート社に関する今回の提案が伝統的な賭事産業のみならずすべての利害関係者にとって有利なものとなることに自信を持っている。

 同氏は、「トート社は特に国際的事業が成長し続けるでしょう。競馬界の収入も増加するでしょうし、そのうえ馬券発売所売却益の半分も得ることができるでしょう」と述べた。

 同氏は、「政府は競馬界の利益のためにトート社を民営化します。それ自体が政府にとって有益であり、また売却益の半分を得るでしょう。そして同様に重要なことは、トート社の本社における雇用が守られるということです」と語った。

 カボーン氏は、トート社売却に関係する政治的駆け引きについても、また自身の政党(労働党)が選挙のマニフェストにおいてこの問題を2度取り上げたことも十分認識している。

By Howard Wright

[Racing Post 2008年7月15日「Caborn hopes his plan will ensure racing benefits for years to come」]


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