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海外競馬ニュース
2008年07月24日  - No.29 - 3

ビッグブラウンの馬主、今後所有馬にラシックス以外投与せず(アメリカ)[獣医・診療]


 ケンタッキーダービー馬ビックブラウンを所有するIEAHステーブル(IEAH Stable)は6月23日、大胆な薬物不使用方針を発表した。この方針は、10月1日から同ステーブルが所有するすべての馬には、以前はラシックス(Lasix)として知られていた鼻出血治療剤サリックス(Salix)以外の薬物を投与せずに出走させるというものである。リチャード・ドゥトロー(Richard Dutrow Jr)調教師は、自身の管理馬数頭に鼻出血の履歴があり、出走させるのにラシックスが必要なのでそれを除外するように頼んだ。

 IEAHステーブルはプレスリリースに、「競馬を取り巻く薬物問題の多くを解決するために、規制基準や法律の制定が求められている状況にあって、私たちの発表が正しい方向への第一歩となると確信しています。私たちが知るかぎりでは、北米においてIEAHが、このような薬物不使用方針を採用する最初の馬主です。他の馬主が私たちに続くように働きかけるつもりです」と記述している。

 IEAHステーブルの共同所有者マイケル・イアヴァロン(Michael Iavarone)氏は6月22日、ブラッドホース誌(The Blood-Horse)に、10月1日を選んだ理由について、「その時までに馬体内のすべての薬物が一掃されるからです」と述べ、「さらに私たちは、競馬場が競走前後に私たちの所有馬全頭の薬物検査をすることについても前向きに対応し、すべての費用を負担するつもりです」と付言した。

 イアヴァロン氏は、誰かが率先して行動すべき時だと確信しており、他の馬主が同氏の後に続くよう要請した。

 同氏は次のように語った。「人々が“薬物をなくそう、薬物をなくそう”と言うだけで、何も行動を起こさないのにうんざりしています。誰でも自ら変化を起こそうと言うことは出来ますが、結局、実行できるのは馬主しかいません。馬主が馬を所有し、その費用を負担しているからです。調教師たちから馬主に提案することはあまり期待できません。薬物の不使用についてドゥトロー調教師に話したとき、私は彼に選択権を与えませんでした。私は、“リック、これが私の望むことで、他人の意見が欲しいわけでも議論したいわけでもない”と言いました。私はラシックスを含む全ての薬物を禁じたかったのですが、ドゥトロー調教師はラシックスを必要とする数頭の管理馬がいるので、ラシックスだけは除外するように懇願しました。私は競馬場の承認をうけた馬に対するラシックスの使用だけは認めることを納得し、彼も協力を約束してくれました」。

 イアヴァロン氏は、IEAHステーブルへの評価と競馬産業全体への影響を楽しみにしていると付言した。

By Steve Haskin

[Racing Post 2008年6月17日「Newmarket unites to fight aircraft stacking」]


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