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2008年01月10日  - No.1 - 3

BHA、障害競走で生じる斤量の不公平な問題に取り組む(イギリス)[開催・運営]


 英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)は、固定障害競走のレーティングが上がった馬を、置障害で以前与えられていた低いレーティングによる斤量のままで競走に戻し、成功を手にするという慣習を撤廃するために方策を講じる。当然、固定障害から置障害に馬を戻す場合にも適用される。

 11月16日のレーシング・ポスト紙で、ジェームズ・ウィロービー(James Willoughby)記者がグラニットジャック(Granit Jack)が出走するパディーパワー・ゴールドカップ競走(固定障害競走)の予想記事で、この慣習の実態が浮き彫りにされた。実際、15日の朝にチェルトナム競馬場で開かれた障害競走小委員会の定例会合においてこの慣習が議題となり、様々な解決策が話し合われた。

 11月16日、グラニットジャックは、置障害競走においてはレーティング142まで飛躍的にレベルが向上したにもかかわらず、その日のパディーパワー・ゴールドカップ競走では以前の固定障害競走のレーティング133で固定障害競走に出走することができた。また、その前週アブラガント(Abragante)は、同馬が今春の置障害競走において背負った斤量(レーティング)よりも23ポンド軽い斤量で、ウィンキャントン競馬場の固定障害競走に出走している。

 しかし一般的には、固定障害競走において長い間活躍している競走馬が、置障害競走に復帰後もかなり低いレーティングのまま優遇されているという実態がある。例えば、ドントプッシュイット(Don’t Push It)は、同馬が固定障害競走において持つ斤量よりも22ポンド軽い置障害競走斤量でチェプストー競馬場の競走で勝っている。他にもこの2週間の間に、トップの固定障害競走馬であるデンプセイ(Dempsey)、ツイストマジック(Twist Magic)、およびボイポルウステデス(Voy Por Ustedes)が、各馬の固定障害競走の斤量より31ポンド以上も軽い斤量で出走している。

 決してこの3頭が優勝したわけではない。現に11月18日には、ファーディー・マーフィー(Ferdy Murphy)調教師の管理馬マーシャルホール(Marshall Hall)がカーライル競馬場で、同馬がハンデキャップの固定障害競走で与えられるはずの斤量よりも41ポンド軽い斤量を背負いながら、見事に打ち負かされている。しかしながら、このように与えられるべきよりも軽い斤量で競走馬が出走する競走は勝ち負けが明確となるため、馬券の売上も芳しくない。また、他の出走馬の関係者にとっても不公平である。

 検討されたいくつかの解決策を説明しながら、上席ハンデキャッパーのフィル・スミス(Phil Smith)氏は次のように述べた。「ある競走馬が格段にレベルを上げた場合、その原因が競走能力の向上によるものか、あるいは障害の種類が異なることによるものであるかどうか、判断できません。両方が原因となって向上したと判断した場合には、固定と障害の中間をとってレーティングを決定するのが適切かもしれません」。

 続けて、「もう1つ考えられるのは、ある競走馬がハンデキャップの固定障害競走で素晴らしい実力を発揮して優勝し、置障害でのレーティングとの整合性がなくなった場合、同馬の置障害のレーティングを固定障害競走のレーティングに引き上げることです。この方法ですと、デンプセイの場合、現在の我々のデータベースでは固定障害競走レーティング165で置障害競走レーティング132ですが、両レーティングの中間である148、もしくは同馬が固定障害競走で以前得ていた最高の153となるでしょう。」

 もう1つの解決策は、ある競走馬がどちらかの種類の障害競走で優勝し、その競走で斤量を10ポンド重く設定する場合は、もう一方の障害競走においても7ポンド重い斤量にするというものである。しかしながら、2つの種類の障害競走間における斤量の差が10ポンド以下の場合は、正当だと認められない限り、レーティングは引き上げない。

 スミス氏は、上記に上げたどの解決策も、完全に論理的なものであるとは言い難いと認めつつ、関係者全員にとって現在の仕組みよりも公正なシステムの構築を心から願っている。また、同氏は、全く同じ事例はありえないので、今後ともレーティングを決定する自由裁量権を認めるべきだと主張しながらも、斤量の調整の問題について調教師も理解しておくことが大事だと述べた。

 現在調査中のもう1つの慣習は、ハンデキャップの固定障害競走で一走させた後、置障害競走に使い、その後しばらくたってから、その馬のレベルが甚だしく向上していた後に、以前の固定障害競走で与えられていた斤量のまま固定障害競走に復帰するという方法である。

 今夏、ロングビルマノー(Longueville Manor)とプレストベリーナイト(Prestbury Knight)は上記にあげた慣習により、人気に応え固定障害競走の勝馬となった。

 BHAは来年早々にもこの件の解決策について合意に至ることを希望している。

by Graham Dench

[Racing Post 2007年11月20日「BHA to tackle practice of jumpers running off old handicap marks」]


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