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海外競馬ニュース
2007年08月23日  - No.32 - 1

アスコット競馬場、シャーガーカップを前に口蹄疫を警戒(イギリス)[獣医・診療]


 アスコット競馬場は8月6日、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)に対して、8月11日に開催されるシャーガーカップが口蹄疫の差し迫った脅威はないという保証を求めるだろう。

 口蹄疫により2001年のチェルトナムフェスティバルが中止となり競馬に大打撃を与えた。今回はギルフォード(Guildford)近郊の農家で口蹄疫 が発生したことが確認された。パーブライト家畜衛生研究所(Pirbright animal research site)が発生源であると取り沙汰されている。

 感染した農家から10 km以内の地域が監視区域に指定された。監視区域がさらに5 km拡大されると、アスコット競馬場も監視区域に含まれることになる。

 口蹄疫の感染性が非常に高いことや、馬運車のような物品類が疾病を拡散させる可能性があるので、BHAは監視区域内の馬を区域外に輸送しないように指導している。

 また環境食糧農村省(Department for Environment, Food and Rural Affairs: DEFRA)は、3 kmの立ち入り禁止区域から動物を移動させることを禁止した。

 8月5日、アスコット競馬場広報担当理事ニック・スミス(Nick Smith)氏は、「馬場担当のクリス・スティッケル(Chris Stickels)氏が、BHAに対して状況を明らかにするよう8月6日の午前中に申し入れます。これは来る重要イベントに備え、DEFRAとBHAの間 の協議内容を把握しておく必要があるからです」と述べた。

 また同氏は、「監視区域が拡大されると、当競馬場は完全にDEFRAの規制の下に置かれてしまいます。しかし、患畜の隔離により、病気は封じ込められているようですので、状況が悪化しなければ、懸念する必要はありません」と付言した。

 同日、BHAの獣医委員リン・ヒリアー(Lynn Hillier)氏は次のように語った。「アスコット競馬場が立ち入り禁止区域か監視区域に入ってしまう可能性について慎重に検討しています。8月6日午 前、BHAとイギリス競馬場協会(Racecourse Association)からも出席する会議があり、本件が一番の論点となるでしょう。もし競馬場が立ち入り禁止区域に入ったら、おそらく“競馬は開催で きない”と回答するでしょう。しかし、監視区域に入った場合は別問題です。私たちはすべての関係者と話す必要があります」。

 パーブライトは口蹄疫発生が集中した地域の中心である村で、家畜衛生研究所が発生場所であるか決定づけるために検査が行われている。

 ギルフォード近郊のウォルフォード牧場(Wolford farm)で確認されたウィルスの株は、7月に家畜衛生研究所でのワクチン製造に使われたものであるとの見方がされている。

 近隣の牧場の家畜とともに64頭の感染牛が殺処分され、イギリス、スコットランド、ウェールズですべての家畜類の域外移動が禁止される。

 口蹄疫は特に牛、羊、豚、山羊、鹿の偶蹄類に影響を与える。動物は感染動物との直接の接触や食糧から感染する。疾病の空気感染は稀であるが、ないわけではなく、動物、人、車の移動も感染を拡げるおそれがある。

 2001年の発生時には650万から1,000万頭の動物に被害を与えた。

 

By Andrew Scutts


[Racing Post 2007年8月6日「Ascot monitors foot and mouth ahead of Shergar Cup meeting」]


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